31/10/2025
長い夏の新たな健康リスク
今夏(6~8月)の平均気温は、過去30年の平均を2.36度も上回り、統計史上最も暑い夏となりました。一方、梅雨明けは記録的な早さでした。気象庁の確定値によると、東海、関東甲信、北陸では、統計が残る1951年以降で最も早く明けました。将来的に春と秋が無くなり、四季から二季になるとの予測も出ています。
暑さの長期化を背景に、5~9月の熱中症の救急搬送者数は初めて10万人を超え、死者は116人に達しました。熱中症患者が増える中、暑さに起因して持病などが悪化して亡くなる暑熱関連死という新たなリスクが注目されています。東京大学の研究グループによれば、2015~2019年の5年間で関連死は計約3万3,000人と推計され、同期間の熱中症単独の死者の約5,000人の7倍近くに上っています。
暑さは循環器や呼吸器系などの疾患リスクを増加させます。熱中症だけをみていると暑さの危険性の過小評価につながります。今世紀末の日本の平均気温は20世紀末と比べて4.5度上昇し、猛暑日は17.5日増える可能性があります。このままでは暑さによる死者はさらに増える可能性があります。
2025年10月28日 読売新聞