07/12/2025
CSPOR-BCで行ったRESQ試験の追加解析結果を、シンガポールで開催された国際学会で、癌研有明病院 乳腺内科の青山先生にご発表いただきました。青山先生、素晴らしいご発表をありがとうございました。
研究の用語解説と概要は以下の通りです。
★PROとは?
PRO(Patient-Reported Outcomes)は、
患者さん自身が感じた症状や生活の困りごとを、患者さん自身が答える評価のことです。
例:
疲れやすさ
痛み
息切れ
日常生活のしやすさ
気持ちの落ち込み など
検査値や画像だけでは分からない、「患者さんの実感」をきちんと評価するために使われます。
★MIDとは?
MID(Minimal Important Difference)は、
患者さんにとって“意味がある”と感じられる最小の変化量のことです。
たとえばQOLの点数が少し良くなっても、
患者さんが「良くなった」と実感できない変化なら臨床的な意味は小さいかもしれません。
そこで、
「このくらい変わったら、患者さんにとって大事な変化です」
という目安を示すのがMIDです。
★何を使ってQOLを測ったのですか?
この研究では、世界で広く使われている質問票を用いました。
EORTC QLQ-C30:がん全般のQOLを測る
QLQ-BR23:乳がんに特化したQOLを測る
★★研究の内容★★
日本で行われた第3相RESQ試験では、HER2陰性の転移乳がんの患者さんがエリブリンまたはS-1を受けました。
その中で、患者さんのQOLがどのくらい改善・悪化したら意味のある変化と言えるかを分析しました。
★何が分かったのですか?
QLQ-C30では、
改善・悪化の「意味のある変化量」の目安が複数の項目で示されました。
さらに、
乳がん特異的質問票QLQ-BR23のMIDを初めて示すことができました。
★この研究がなぜ大事なのですか?
この研究の価値は、とても実用的です。
1) QOLの結果が分かりやすくなる
臨床試験で
「QOLが○点改善しました」
と言われても、それが患者さんにとって本当に意味がある改善かは判断が難しいことがあります。
MIDがあると、
”患者さんの実感に基づいた解釈” がしやすくなります。
2) 未来の臨床試験がより良くなる
MIDは、
QOLを評価する試験設計
目標とする変化量の設定
結果の解釈
に役立ち、患者中心の研究を前に進める基盤になります。
まとめると、
患者さんの声(PRO)を、臨床的に意味のある形で解釈するための“ものさし(MID)”を作った研究です。
これにより、今後の乳がん治療研究で、「患者さんにとっての本当の価値」をより正確に示せるようになります。