05/11/2025
【筋肉は、うつを防ぐ“臓器”だった】
「運動がメンタルにいい」とはよく言われます。
でも、なぜ運動がうつ病を防ぐのか
その分子レベルの理由を説明できる人は、意外と少ないかもしれません。
アミノ酸のトリプトファンは、脳内で「幸せホルモン」セロトニンに変わることで知られています。
ところが、ストレスや炎症があると、トリプトファンは別の道に進み、「キヌレニン」という物質に変わります。
このキヌレニンが脳に入り込むと、神経を傷つけ、うつ症状を引き起こす可能性があるのです。
では、運動はここにどう関わるのか?
骨格筋が動くと、「PGC-1α1(ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γ共役因子1α)」というたんぱくが大量に作られます。
このPGC-1α1が、筋肉内で「キヌレニンをキヌレン酸に変換する酵素(KAT)」を増やすのです。
キヌレン酸は、脳に入ることができない無害な物質。
つまり、筋肉が“フィルター”となって、有害なキヌレニンが脳に届くのを防いでくれる、ということです。
たとえるなら
「筋肉は、ストレスから脳を守る“解毒工場”」。
働かせなければ錆びつくけれど、動かすことでフル稼働し、脳を守ってくれます。
2014年、スウェーデン・カロリンスカ研究所の研究チームがこのメカニズムを報告しました(Cell誌)。
うつ病の予防に“抗うつ薬ではなく筋肉”が関与する可能性を示した、画期的な研究です。
つまり、
「うつを防ぐ薬は、あなたの中にすでにある」
それが、筋肉という“うつ予防臓器”なのです。
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日本栄養精神医学会(食と心の専門家)