一般社団法人信州上田みらい塾

一般社団法人信州上田みらい塾 宮坂昌之(大阪大学免疫学フロンティア研究センター・招へい教授、大阪大学名誉教授)が代表理事です。医学健康情報の発信を行います。

新型コロナ感染後に認知障害を訴えるケースがありますが、それはどのような人に起こりやすいのでしょうか?以下は、2020年3月から2023年2月までの約3年間にアイスランド、ノルウェー、エストニア、スウェーデンの4ヵ国から集められたデータを解析...
16/04/2026

新型コロナ感染後に認知障害を訴えるケースがありますが、それはどのような人に起こりやすいのでしょうか?

以下は、2020年3月から2023年2月までの約3年間にアイスランド、ノルウェー、エストニア、スウェーデンの4ヵ国から集められたデータを解析した結果です。得られたデータを被験者の年齢、性別、学歴、婚姻状況、過剰飲酒、体格指数(BMI)、過去の精神疾患診断、慢性疾患の数や回答期間などに関して調整し、分析しています(https://link.springer.com/.../10.1186/s12916-026-04856-2...)。

調査人数は約15万4千人(女性71%)で、そのうちの約2割が上記の調査期間中に新型コロナ陽性となりました。そのうち、新型コロナ感染しても寝込むことがなかった人たちでは認知障害リスクは非感染者と比べて上がっていませんでしたが、1~6日間寝込んだ人では認知機能障害の発生比が1.38、また7日以上寝込んだ人では2.59と明らかに上昇し、この発生比上昇は感染後18~32ヶ月目まで続いていました。

つまり、新型コロナが軽くて寝込まなかった人たちでは大丈夫だったのですが、1日以上寝込んだ人たちではその期間が長かった時には明らかに認知障害リスクが上がっていた、ということです。やはり新型コロナは罹ったら損ですね。誰が寝込むようになるのかはわからないのですから。

15/04/2026

もう皆さん、新型コロナのことなど忘れかけているでしょうが、一時期、感染がひどかった中国から、妊婦に対して新型コロナ感染がどのような影響を及ぼしたのか、詳しい報告が出ています。
妊娠初期に感染があり、自主的に妊娠中絶を行った761名の妊婦を対象とした大規模なコホート研究の結果です。妊婦への新型コロナ感染は胎盤の免疫環境と栄養膜細胞の動態を著しく乱し、胎盤、胎児に種々の悪影響をもたらしていたことが確認されました。
繰り返しますが、新型コロナは罹ったら損、妊娠初期の場合には困ったことになる可能性があります。

Despite the global prevalence of SARS-CoV-2 infection, its maternal–fetal interface during the first trimester remains underexplored. Here, the authors combined a cohort of 700+ samples and determine that maternal SARS-CoV-2 infection in the first trimester rarely infects placental tissue but alte...

以下、ちょっと難しい話です。加齢による認知症でもっとも多いのがアルツハイマー病です。脳内にアミロイドβ(Aβ)やタウが蓄積し、おそらくそのためと思われますが、神経細胞の傷害と破壊・喪失が起こり、認知能が低下します。これを防ぐ(軽減する)ため...
14/04/2026

以下、ちょっと難しい話です。
加齢による認知症でもっとも多いのがアルツハイマー病です。脳内にアミロイドβ(Aβ)やタウが蓄積し、おそらくそのためと思われますが、神経細胞の傷害と破壊・喪失が起こり、認知能が低下します。これを防ぐ(軽減する)ための治療として抗Aβモノクローナル抗体投与がありますが、その効果はかなり限定的のようです。

ところが、これらのAβモノクローナル抗体はAβモノマーあるいはポリマーを認識できることから、これらの抗体をAβ結合用の腕として利用し、それをアストロサイト(ニューロンを包むグリア細胞の一種で、食作用を持つ細胞)に存在する貪食レセプターに融合させ、キメラ抗原レセプター(CAR)の形にして細胞表面上に発現させ、これによってアストロサイトを脳内のAβと特異的に結合させ、アストロサイトにAβを食べさせ、Aβを分解してしまおう、という全く新しい試みがマウスの実験モデルで行われています。つまり、よくCAR療法で使われるT細胞の代わりに貪食細胞であるアストロサイトを使い、それをアミロイドβ除去のために使おうというアイデアです。アメリカの研究グループの仕事で、まだマウスでの実験レベルでの話ですが、ちょっと驚く結果です(https://www.science.org/doi/10.1126/science.ads3972)。

この研究では、抗アミロイドβ(Aβ)抗体であるクレネズマブ(crenezumab)あるいはアデュカヌマブ(aducanemab)から単鎖可変断片(scFv)を作り、それを貪食(どんしょく)受容体(MEGF10あるいはDectin-1)と融合させた形のキメラ抗原受容体(CAR-A)遺伝子を作り、これをアストロサイトに発現させました。すると、アストロサイトは活発にAβを貪食し分解することが確認されました。そこで、彼らはこのCAR-Aを改良型アデノ随伴ベクターに組み込んで、アルツハイマーモデルマウスである5xFADマウスに静脈内注射して、果たして脳内のAβ蓄積を抑えられるかどうか調べました。

まず、人間のアルツハイマー病に近い状態である9か月令の5xFADマウス(既に脳内にAβプラークが蓄積して行動異常を示す)にこのアデノベクターを投与すると、確かにアストロサイトでCAR-Aの発現が見られ、これに伴い、脳内では新たなAβ蓄積が抑えられるともに神経突起の変性が強く阻害されていました。しかし、このマウスで特徴的に見られる行動異常は改善されませんでした。次に、プラークができる前の2.5カ月令の5xFADマウスに投与したところ、この場合にも明らかなAβ蓄積と神経変性が見られていました。

以上のことから、Aβ貪食性のCARをアストロサイト(=脳のグリア細胞の一種)に人工的に発現させることによって、脳内でのAβ蓄積と神経変性を抑制することがマウスのアルツハイマーモデルで出来た、というお話です。しかし、Aβプラーク形成に伴う行動異常は改善されておらず、この治療を受けたマウスでの知能がどうなったかについては不明です。ただ、まったく新しいのは、アデノベクターを使うことによってニューロンに隣接するアストロサイトにAβ貪食性のCARを発現させることができたことであり、さらに、これによって脳内でAβの蓄積と神経変性が抑えられた、という点です。技術的には目を剥くほどの新規性があるのですが、果たしてこれがヒトに応用できるかどうかはこれからの研究成果を待つ必要があります。

こういう話をすると、こんな治療法は保険適用にはできないという話がすぐに出てくるのですが、約50年前私が血液内科に入った頃は骨髄移植はやりたくても実施できる施設すらほぼなかったのですが、今は公的医療保険の適用対象であり、実施登録施設が全国で300以上あります。そして、この方法は血液系腫瘍の治療に必須の存在です。新しい治療法の開発は常にコストの問題がありますが、新しい技術開発無しには新しい治療法もありません。私は、当面、コストの話は別にしたほうが良いと考えています。

13/04/2026

認知機能は加齢とともに低下してきますが、積極的に頭を使うことによって認知機能の低下が遅くなるだけではなく、認知機能がむしろ向上し、認知症の発症が遅くなるのではないかと言われています。しかし、それを大規模な調査で科学的に示した例は多くありません。

専門誌Neurologyの近刊に、アメリカ・イリノイ州北東部の高齢者を対象とした認知症に関する経時的臨床病理学的研究の結果が載っています(https://www.neurology.org/doi/10.1212/WNL.0000000000214677)。
対象者は、調査開始時点で認知症がなく、その後生涯にわたって認知機能向上活動に関するアンケートに回答し、さらに毎年、認知症に関する臨床評価を受けていた人たち約2千人(女性76%、平均年齢79.6歳)です。高齢になってから行った知的活動が非常に多かった人、中等度だった人、低かった人に分けて認知症の発症頻度、発症年齢など3群に分けて、一人平均7.6年にわたり調査しました。

その結果、若い時から知的活動において積極的であっただけでなくて高齢になってからも知的活動を最も積極的に続けた人たちでは、知的活動が少なかった人たちよりも、認知症になるのが38%減り、軽度認知障害も36%低下し、認知障害の発症が5-8年遅くなっていました。つまり、生涯にわたって知的活動を積極的に続けることが認知機能低下の速度を遅くさせ、認知症リスクを低下させることにつながっていた、という結果です。

ということは、年を取ったからもういろいろなことは諦めるというのではなくて、スマホも結構、パソコンも結構、唄を歌うのも結構、習字をするのも結構、手紙を書くのも結構、社会的活動をするのも結構、そのようなことの積み重ねが、加齢による認知機能の低下を遅らせ、ひいてはアルツハイマー型認知症のリスクを下げてくれることにつながる、ということです。年寄りに大事な「きょうよう(今日用事があること)」や「きょういく(今日行くところがあること)」は、いずれも認知機能を高める活動そのものです。長野県の方言で「ずくを出す」という表現がありますが、「まめに動く」という意味です。皆さん、ずくを出して活動しましょう!

最近、SLEのような難治性自己免疫疾患の治療に、患者自身のT細胞に対して遺伝子導入を行い、その細胞を患者自身に戻すCAR-T細胞療法が施され、きわめて治療効果が高いことがわかっています。特にB細胞が自己を攻撃する自己抗体を作っている場合には...
12/04/2026

最近、SLEのような難治性自己免疫疾患の治療に、患者自身のT細胞に対して遺伝子導入を行い、その細胞を患者自身に戻すCAR-T細胞療法が施され、きわめて治療効果が高いことがわかっています。特にB細胞が自己を攻撃する自己抗体を作っている場合には、患者のB細胞だけを選択的に攻撃するT細胞を試験管内で作り(具体的には、B細胞表面に存在するCD19タンパク質に結合してB細胞を殺すT細胞を作り)、投与することが行われます。
専門誌Medにドイツで、自己免疫性溶血性貧血、免疫性血小板減少症と抗リン脂質抗体症という3つの自己免疫疾患を合併し、既存の治療にうまく反応しなかった47歳女性に対して、CD19を標的にしたCAR-T細胞療法が行った例が報告されています(https://www.cell.com/med/fulltext/S2666-6340(26)00078-4)。

一例だけの臨床報告ではありますが、驚いたことにCAR-T細胞療法を一度行っただけで、この患者では、治療7日目に輸血が不要となり、治療25日目にヘモグロビンが正常化して溶血現象が消失し、その後、11か月間、寛解状態が維持されていることが報告されています。つまり、自己免疫性溶血性貧血、免疫性自己血小板減少症、 抗リン脂質抗体症候群という3つの自己免疫疾患が1回のCAR-T細胞療法で消失し、長期間の寛解維持がもたらされた、ということです。CAR-T細胞療法では、しばしばサイトカインが異常に放出されるサイトカイン症候群や神経毒性症状(意識障害、けいれん)などが見られるのですが、この症例ではこれらのCAR-T細胞療法に伴う副作用がまったく出なかったとのことで、患者は日常生活に無事復帰したとのことです。

CAR-T細胞療法はこのように素晴らしい治療効果をもたらすことがあるのですが、同時に上述のサイトカイン症候群や脳神経障害などが副作用として出現することがあり、さらに患者自身の血液からT細胞を取り出し遺伝子を組み替えて再び戻すという完全な「オーダーメイド治療」なので、現時点では非常に高額であるという問題があります。しかし、治療の手間やコストの問題は、いずれ技術の進歩によりなんとか改善できる可能性があります。

この報告はわずか一例のものではありますが、自己免疫性溶血性貧血、免疫性血小板減少症と抗リン脂質抗体症という3つの自己免疫疾患のために生命の危機があった女性が、一回の治療ですべての自己免疫症状が消失し、日常生活に復帰できるようになった、というのは劇的ともいえる結果です。現在、この治療法のハードルを下げるために、さまざまな研究が行われています。その進歩に期待しましょう。

抗生物質の乱用は、薬剤耐性菌の出現と拡大をもたらすだけでなく、体内細菌叢に大きな影響を与え、その結果、肥満、2型糖尿病や心血管疾患のリスクが上がることが報告されています。抗生物質投与によって実際にどのぐらい腸内細菌叢が変わっているのか、スウ...
11/04/2026

抗生物質の乱用は、薬剤耐性菌の出現と拡大をもたらすだけでなく、体内細菌叢に大きな影響を与え、その結果、肥満、2型糖尿病や心血管疾患のリスクが上がることが報告されています。

抗生物質投与によって実際にどのぐらい腸内細菌叢が変わっているのか、スウェーデンで抗生物質投与を受けた約1万約5千人について、8年間、経時的に糞便検体を得て、特に腸内細菌叢多様性の変化について調査が行われました。

その結果、次のことが分かってきました。
(1)一部の抗生物質(クリンダマイシン、フルクロキサシリンやフルオロキノロン)は、腸内細菌叢の多様性を大きく低下させ、多様性が完全に回復するまでに何年もかかっていた。
(2)フロクロキサシリンは効く範囲が比較的狭い狭域スペクトラム抗生物質なのですが、腸内細菌叢への影響が大きく、一方、ペニシリン系抗生物質(ペニシリンVやアンピシリン、アモキシシリン)は比較的影響が少なかった。
(3)一部の抗生物質(クリンダマイシン、フルクロキサシリンやフルオロキノロン)は一方で、高BMI、高中性脂肪や2型糖尿病のリスクを増やすものとして報告されている菌種(悪玉菌?)を増やしていた。

以上まとめると、臨床的によく使われている一部の抗生物質(クリンダマイシン、フルクロキサシリンやフルオロキノロン)を投与すると、腸内細菌叢の多様性が大きく低下し、その回復に数年を要していました。抗生物質は細菌による感染症の治療において非常に重要な役割を果たしますが、一方で乱用すると、上に書いたように、個人や社会に弊害をもたらします。今回の調査から、一部の抗生物質は人々の健康に大きな影響を与える腸内細菌叢にも長期的かつ持続的に悪影響を与える可能性があることが分かりました。何かあるとすぐに抗生物質を処方する医師が居ますが、是非、上記のような事実があることを知っていただき、薬の乱用を避けていただきたいものです。

新型コロナのパンデミックが勃発後、一時期、学校が休学になったり、リモート授業になったり、外出制限で友だちとの接触が制限されたりして、子どもたちの生活リズムが乱れ、子どもたちの心の健康やからだの健康に影響があったのではないかと懸念されています...
10/04/2026

新型コロナのパンデミックが勃発後、一時期、学校が休学になったり、リモート授業になったり、外出制限で友だちとの接触が制限されたりして、子どもたちの生活リズムが乱れ、子どもたちの心の健康やからだの健康に影響があったのではないかと懸念されています。また、頻度は少ないですが、新型コロナに感染した一部の子どもたちにブレインフォグや集中力低下などが見られたり、頭痛や疲労などの神経症状が出たりしたことも世界各国から報告されています。

そこで、カナダのオンタリオ州では、6歳以下の子どもたちのneurodevelopmental disorders(神経発達障害;自閉スペクトラム症(ASD)、ADHDや学習障害を含む)の頻度について、パンデミック前、パンデミック中、パンデミック後に分けて調査が行われました。対象は2024年末から2025年3月14日の間に神経学的な診察を受けた約29万人の6歳以下(平均2.5±1.6歳)の子どもたちです。

その結果、幸い、パンデミック前、パンデミック中、パンデミック後を通じて、これらの子どもたちの間では異常な神経発達障害の頻度は変わっておらず、パンデミック後に特定のタイプの神経発達障害が増えていたことはありませんでした。したがって、このデータを見る限り、カナダのオンタリオ州では新型コロナパンデミックが子どもたちの神経学的発達に悪影響を与えてはいなかったことが示唆されます。少しほっとするデータです。

This cohort study evaluates changes in rates and rate trends of new neurodevelopmental diagnoses for children aged 6 years or younger in Ontario, Canada, before, during, and after the COVID-19 pandemic.

がんになるのは、氏の問題かそれとも育ちの問題か、つまり遺伝のほうが大事なのかそれとも環境のほうがより大事なのか、よく議論されます。私のフェイスブック記事でも以前に、発がんに関わるのは環境的要因のほうが遺伝的要因よりずっと大きく、遺伝的原因で...
10/04/2026

がんになるのは、氏の問題かそれとも育ちの問題か、つまり遺伝のほうが大事なのかそれとも環境のほうがより大事なのか、よく議論されます。私のフェイスブック記事でも以前に、発がんに関わるのは環境的要因のほうが遺伝的要因よりずっと大きく、遺伝的原因でがんになるのはがん全体のおそらく5%程度と説明しています。https://www.facebook.com/masayuki.miyasaka.9/posts/pfbid0oT64bM8ZbC9qXRe2qnYXoftmp6zqHLvpu3JKkZsmjNJzFWTroi2g8JZNVk2Z198al

では、発がんに影響する環境要因として何が大事でしょうか?一般的には、皆さんご存じのとおり、食事、飲酒、ウイルス感染や物理・化学物質の曝露などがいわれていますが、4月8日号の専門誌Cancer Research Communicationsには、なんと結婚も発がんリスクに影響するという論文が載っています。変わった視点なので、面白半分に読んでみました。

アメリカの研究グループが米国内12州において2015-2022年の期間に調査を行った結果です。左側の図では横軸が調査対象の人たちの年代、縦軸が未婚者の既婚者に対するがんの罹患比率です。30歳台以降では、どの年代においても、そして男女ともに、未婚者のほうが既婚者よりもがんになりやすく(=罹患率比が1以上)、50歳を超えるとしばらくはさらにその差が大きくなる傾向がありました。
右の表では、乳がん、子宮頸がん、大腸がん、前立腺がんを見る限り、どの種類のがんにおいても、どの人種においても(白人系、黒人系、ヒスパニック系、アジア太平洋系に分けて調査)、未婚者のほうが既婚者よりも、がんになりやすい傾向があることが示されています。そして、特定のがん(特にウイルスが原因のもの)に関してみると、肛門がんでは男性は5倍、女性は2.5倍、未婚者の発生率が高かったことがわかりました(肛門がんや子宮頸がんのほとんどは、ヒトパピローマウイルス(HPV)が原因)。

以上まとめると、アメリカでは30歳以上の成人を見ると、未婚者のほうが既婚者よりも発がんリスクが高く、結婚が発がんリスクに影響しうることが示唆されています。ただし、この調査では食事や飲酒の差、経済的問題、教育の差などは調査されていないので、調査には含まれていない何らかの因子が調査結果をゆがめている可能性は否定できませんが、どの人種においてもどの種類のがんにおいてもほぼ同様の傾向が見られ、特に感染がベースにあるがんでは未婚者の発がんリスクが既婚者に比べて格段に大きくなっているというのは興味深いことです。環境が発がんに影響を与えることを示すデータであると私は解釈しています。

われわれのからだは無数の細菌やウイルスと共存しています。これは細菌も同様で、細菌も自然界において無数の他の細菌やウイルスと共存しています。細菌に感染するウイルスにはバクテリオファージと呼ばれるものがあり、地球上で最も数の多い生物学的存在と考...
09/04/2026

われわれのからだは無数の細菌やウイルスと共存しています。これは細菌も同様で、細菌も自然界において無数の他の細菌やウイルスと共存しています。細菌に感染するウイルスにはバクテリオファージと呼ばれるものがあり、地球上で最も数の多い生物学的存在と考えられています。中には細菌にとって悪いことをするバクテリオファージもいることから、細菌自体にはファージの侵入を防ぐ防衛システムが存在すると考えられていますが、現状ではその一部しか明らかになっていません。
Natureの4月2日号オンライン版のNews欄によると、アメリカとフランスの研究グループがそれぞれ独自に、細菌がウイルスの侵入を防ぐタンパク質を同定するために新たに機械学習アルゴリズムを開発し、その結果が最新号のScienceに発表されています。それによると、細菌がウイルス防御のために用いる「免疫タンパク質」が、今回、新たに数百個も同定され、そのうち100個以上はこれまで全く知られていなかったものだったとのことです。

細菌がこれほど多くの新規「抗ウイルスタンパク質」を持っているとは驚きです。どうも細菌がウイルスに対して持つ防御システムはわれわれが予想していたよりもずっと複雑なのでしょう。このような研究をさらに進めていくことによって、新しい免疫の仕組みの発見や新規抗ウイルス剤の開発につながる可能性があります。夢のある研究です。おおいに期待しましょう。

Two research teams mined genomic data from bacteria to create databases containing thousands of antiviral defence proteins that could inspire powerful biotechnologies.

新型コロナ感染後には子どもにおいても長期間続く後遺症(long COVID)が起きることがあります。主な症状は疲労で、殆どの子ども(98%)に見られます。次に頭痛が7,8割、呼吸困難が6割程度に見られます。Long COVIDの診断は臨床的...
09/04/2026

新型コロナ感染後には子どもにおいても長期間続く後遺症(long COVID)が起きることがあります。
主な症状は疲労で、殆どの子ども(98%)に見られます。次に頭痛が7,8割、呼吸困難が6割程度に見られます。Long COVIDの診断は臨床的な観点から行われます。具体的には、感染から3か月以内に症状が始まり、それが2か月以上続き、新型コロナ以外が原因ではない判断されるものに対して、long COVIDという診断が下されます。しかし、long COVIDに特有の血液マーカーは今のところ見つかっていません。
スペインの研究グループが、long COVIDにかかった子どもたちの体内で何が起きているのかを調べるために、Long COVIDを有する子ども99名とLong COVID陰性の子ども 18名(平均年齢13歳)について血液検体を集め、37のマーカーを用いた多色フローサイトメトリー解析を行いました(https://insight.jci.org/articles/view/201111)。その結果、
① Long COVIDを有する子どもたちでは、対照群と比べて、自然免疫にも獲得免疫にも異常が見られました。
② 特に、末梢血中には過剰に活性化されたT細胞、B細胞やNK細胞が増えていました。
③ 単球や樹状細胞ではケモカインレセプターであるCCR6, CCR7を発現する細胞が減っていました。
④ B細胞の反応性が低下していて、対照群に比べて、新型コロナウイルス・スパイク蛋白質のRBD領域に対するIgG抗体とIgA抗体の量が選択的かつ有意に低下していました。
⑤ T細胞ではCD4陽性細胞、制御性T細胞が増え、セントラルメモリーT細胞が減っていた。
以上のことから、Long COVIDの子どもたちでは何らかの免疫異常状態が起きていると判断されますが、これが long COVIDの原因なのか、それとも結果なのかは現時点では不明です。
新型コロナにかかって治ったと思った後に上のような後遺症が発症したという例は、幸い、日本では海外ほど頻度は高くないようですが、それでも学校生活に支障が出るレベルの後遺症に悩む子どもは日本国内に一定数存在するようです。子どもは新型コロナにかかってもいいだとか、かかっても大したことない、などと無責任な発言をする人がいまだに後を絶ちませんが、それは「強者の論理」(=強者からの一方的な物の見方)であって、間違っています。子どもでも新型コロナにはかからない(あるいはできるだけ感染する回数を減らす)に越したことはありません。

新型コロナ感染経験者では、合併症として心筋炎を含む心血管疾患を発症するリスクが高まることをすでに紹介しています。https://www.facebook.com/masayuki.miyasaka.9/posts/pfbid02v3s6wM...
04/04/2026

新型コロナ感染経験者では、合併症として心筋炎を含む心血管疾患を発症するリスクが高まることをすでに紹介しています。
https://www.facebook.com/masayuki.miyasaka.9/posts/pfbid02v3s6wMpZY3MKRvwYPUYVgK3uzSRsSjKjvRHZdjH5dtFq9XjCgvGd4g6JgBmEKT1Yl
https://www.facebook.com/masayuki.miyasaka.9/posts/pfbid0ry66kpDfEJZLvtiDBxxksa9JYuPDYNTtQf7UK8HtF1i9aLyMzzjH17mdZKwJ6GkNl
https://www.facebook.com/masayuki.miyasaka.9/posts/pfbid02hzbLGutj2SATHMh6CZg7ZjZcDn551riJ638azf5FbSFijci4Jxu8L1UqcXdbXsttl
ただし、これは感染が重かった人たち(=入院者)についてであり、一方、感染が軽かった非入院者ではどうなのかこれまで良い統計データがありませんでした。

これに関してスウェーデンの研究グループが、ストックホルム約250万人の医療電子データから、2020年10月から2025年1月の間に医師によって新型コロナ後遺症(long COVID)と診断された18~65歳の個人を特定し、この人たちがその後心血管疾患を起こすリスクについて調査を行いました(新型コロナによる入院者と心血管疾患を既に有していた人は調査から除外されています)。
https://www.thelancet.com/journals/eclinm/article/PIIS2589-5370(26)00093-3/fulltext
この調査では、解析において交絡因子となりうる諸因子(特に人口統計学的要因、生活習慣や精神健康要因)については、しっかりと調整をしていることから、出てきた結論は信頼性の高いものであると考えられます。

その結果、調査した約122万人(=新型コロナに感染したが入院はしなかった人たち)のうち、0.7%がlong COVIDの診断を受けていました。そのうち、女性が66%で、女性が男性より多めでした。すべての心血管イベントの累積発生率は、long COVID群のほうが対照群より明らかに高く、ハザード比でみると女性が2.06、男性が1.33でした(つまり、long COVIDの女性では非long COVID患者と比べて、心血管疾患を約2倍、男性では約1.3倍、起こしやすいことがわかりました)。観察された心血管疾患の内訳を見ると、不整脈、冠動脈疾患、心不全が見られ、そのいずれにおいてもlong COVID患者では発症率が高くなっていました。一方、脳卒中の発症率は増えていませんでした。

以上、新型コロナ感染をして入院をしなかった人たちではlong COVIDの診断を受けたのは全体の1%以下でしたが、long COVID患者では、不整脈、冠動脈疾患、心不全などのリスクが明らかに高くなっていた、という結果でした。

やはり、新型コロナはかかったら、頻度は低くてもlong COVIDとなることがあり、その場合には結構ややこしいことになる可能性がある、ということです。ご注意ください。

住所

長野県上田市大手2-1/5
Ueda-shi, Nagano
386-0024

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