12/11/2025
von Hippel Lindau病の新規治療に関する研究会が、URO科を中心に科の垣根を越えた研究会として、グランドメルキュール奈良橿原にて開催されました。
von Hippel Lindau病は常染色体顕性遺伝性疾患で、国内に200-300家系存在すると考えられています。腫瘍は主として脳脊髄血管芽腫、網膜血管芽腫として高率に発症、その他様々な臓器に発症します。
耳鼻咽喉科医の担当は内リンパ嚢腫瘍になりますが、von Hippel Lindau病の約10%に合併します。参考文献にありますように、臨床経過がメニエール病に極めて類似し、グリセロール試験が陽性であったり、V2受容体が過剰発現しているなど、おそらく腫瘍の影響で水腫が実際に存在するためであると考えます。
内リンパ嚢腫瘍は側頭骨と後頭蓋窩にまたがる腫瘍(腺腫/腺癌)であり、以前は成長進展してから発見され、脳神経外科的に手術治療になるため、この腫瘍性疾患が報告されるようになった2000年代のQ1ジャーナルへの報告のほとんどは脳神経外科医からのものです。
近年、小腫瘍のうちに発見されるようになりましたが、やはり手術治療となると内耳損傷、すなわち高度感音難聴と平衡障害という後遺症を残すことになります。VHLタンパクの機能喪失を補完する新規治療薬ウェリレグ®️の台頭は、本疾患患者のQOLを著しく改善させる期待が持てると考えます。