18/11/2025
『動作のエラー』
「動作のエラー=悪いこと、直すべきもの」
と捉えられることが多いですが、
これは動作において最も大きな誤解です。
本来エラーとは脳にとって最強の学習データです。
エラーがあるからこそ、
脳は修正し、調整し、学習します。
エラーがなければ、動作は進化しません。
◆エラーは“何を教えてくれているのか?”
エラーは、ただの失敗ではありません。
動きの中に隠れた「不足」「偏り」「誤差」を教えてくれるサインの役割を果たしています。
✔ フォームが崩れる
→ 身体のどの軸が弱いか
→ どの感覚が働いていないか
→ どのタイミングで破綻しているか
崩れた瞬間の情報に、改善のヒントがすべてある。
✔ バランスを失う
→ 深部感覚が鈍い
→ 接地が不安定
→ 前庭の反応が遅れている
倒れそうになる“直前”に、学習材料が詰まっている。
✔ タイミングが合わない
→ 予測(フィードフォワード)がズレている
→ 感覚の遅延が起きている
→ 環境に注意が向いていない
タイミングの狂いこそ、調整力を育てる最大のチャンス。
◆エラーが多い人ほど伸びる理由
エラーとは、ズレ(Error)と正解(Goal)のギャップ情報。
この誤差を小脳が検出し、脳全体が修正モデルをアップデートすることで、動作はより正確に、より滑らかな動きになります。
つまり、エラーが多い = 情報が多い = 学習材料が多いことになります。
◆逆に「エラーゼロ」を目指すと成長が止まります。
よくある間違いは、正確にできる環境でばかり練習してしまうことが問題です。
✔ 完璧なフォーム
✔ 安定した条件
✔ 同じ速度・同じリズム
これは一見良さそうに見えて、脳がエラー情報を得られず、成長が停滞してしまいます。
人間の動作は、日常もスポーツも“変化”だらけで安定環境だけでは学習になりません。
エラーは “修正すべき欠点”ではなく、
動きを進化させるためのデータそのものです。