04/11/2025
11月のカウンセラー養成集中講座は、久しぶりの交流分析です。
今回は交流分析とロジャーズの人間(来談者)中心療法を組み合わせてお話しました。
交流分析の講義は今月のWEB講座でも行いますのでその後で内容を書くこととし、今回は人間中心療法についてお話したことを少し書こうと思います。
「傾聴」「共感」「受容」で有名なロジャーズ理論は、数多くの本が出ていますし、セミナーも多いのでご存じの方も多いことと思います。
彼は、クライアントにおいて建設的なパーソナリティの変化が起こる条件として、下記の6つを挙げました。
・2人の人が心理的な接触をもっていること。
・クライエントは自己不一致の状態にあり、傷つきやすく、不安な状態にあること。
・セラピストは、その関係のなかで自己一致しており、統合していること。
・セラピストはクライエントに対する無条件の肯定的配慮を経験していること。
・セラピストはクライエントの内的準拠枠を共感的に理解しており、その経験をクライエントに伝えようと努めていること。
・セラピストの共感的理解と無条件の肯定的配慮が最低限クライエントに伝わっていること。
まずここで注意しなくてはならないのですが、「建設的なパーソナリティの変化が起こる」には、と言う以上、そもそもそれを目標としているのであり、そのカウンセラーの意識は当然クライアントに影響してしまうということです。
またロジャーズがカウンセリングをしているビデオを見ると、彼もクライアントが自己一致に向かう発言に対しては、他の時より大きく頷いたり、しっかり「支持」したりしています。
となると、人間中心療法のセミナーなどで「カウンセラーはクライアントを絶対誘導したりしてはいけない」という話が出ることも多いのですが、意外とロジャーズの考え方はバイアスがかかって伝えられているのではないかということになるんですね。
他にも例えば6つの条件の1つ目の「2人の人が心理的な接触をもっていること」というのについては、本などでは「カウンセリングをするのだから当たり前のこと」として、あまり説明はされていないことが普通です。
しかしG・プラウティ&D・ヴェルデらは、「自分の感情との『接触』、および他者との『接触』が欠落しているクライアントにおいては、プレセラピーが必要である」と述べています。
この「自分の感情との『接触』、および他者との『接触』が欠落しているクライアント」というのは身体障害や統合失調症の患者などのことを想定しているようですが、これは今よく話題となっているASD(アスペルガー)に対しても、類似した対応の必要性が考えられます。
そういう場合は、セラピーを受け入れられるよう準備するためのアプローチが必要ですし、カウンセラーもその専門知識(例えばASDの知識)が前もって備わっていないといけないということですね。
さて、6つの条件では次に「自己不一致」という言葉が出てきますが、これは下図のように「こうあるべき」という自己概念とその人の経験が一致していないということです。
この自己概念というのは、その人が育った環境での「承認の条件」と、それに合わせようとした生き方に関係します。
例えば「自分もスポットライトを浴びたい」という欲求が心の奥底にある子が、「謙虚に生きなくてはいけない」とか「出る杭は打たれる」という家訓の家に育ったとしましょう。
それが自分が承認される条件なので、彼の「ルール」は超自我(交流分析で言うと【CP】)にインストールされ、彼のエス(交流分析で言うと【FC】)にある「スポットライトを浴びたい」という欲求は抑圧されることになり、そういうことに対しては不安が生じ、無意識のうちにそういう行動を取ってもそれは経験としては意識されず否認されるわけです。
それに対して「自己一致」というのは、超自我(【CP】)が意識することを拒んでいたり歪曲して意識していた感情や思考を、意識上でリアルに経験するようになる状態、言い換えると自己概念とその人の経験が一致してしていることです。
つまりカウンセリングというのは、クライアントが意識することを拒んでいたり歪曲して意識していた感情や思考を、同化し統合していく過程のことと言ってもいいでしょう。
そしてクライアントが自己一致することにより以前は脅威を感じ意識することができなかった経験を統合できたとしたら、本来の自分の欲求に向かっていくことができるわけです。
ロジャーズはこの自己一致、つまり純粋性(表裏が無い事)を一番大事にしました。
ということは、当然カウンセラーは自己一致していなければならず、しかもクライアントへの共感ができないといけないということになりますよね。
ここが難しい!
例えばクライアントが
「キャンディーズはやっぱりランちゃんが一番かわいいですよね!」
と言った時、カウンセラーはどう答えるか…。
カウンセラーは純粋(Genuine)でなければいけません。となると
「何を眠たい話をしてるんだ! ミキちゃんに決まっとるやろ!怒り」
となるわけですが、これは交流分析で言うところの「交差交流」であり、これだと「やりとり」は続きません。
やりとりが続く平行交流だと
「だよね。やっぱランちゃんだよね」
となりますが、これでは本音と違う「裏面交流」となり、それこそ【Genuine】に反します。
じゃあどうしたらいいのか?
ということなども、もちろんしっかりとお話しました。
この内容は第3土曜、そして第2日曜と第3日曜にも行いますので、よろしければぜひご参加ください。参加費は9000円です。
詳しくは下記ページをご覧ください。
【Copyright(c) この内容の著作権は(同)ベルコスモ・カウンセリングに有り無断転載 無断複写は禁止されています】
カウンセラー養成集中講座は第1と第3土曜(どちらか選択)です。
https://npo-jisedai.org/kouza.htm
ベーシック集中講座は毎月第2日曜と第3日曜(どちらか選択)に開かれます。心理学は初めての方でもご参加いただけます。
https://npo-jisedai.org/basic.html
WEB講座は第2土曜の午前中です。WEBでのリモート講座はこちらです。↓
https://npo-jisedai.org/webkouza.html
ご参加のお申込みやお問い合わせは下記ホームページから、またはメール( info@npo-jisedai.org )にてお願いいたします。
他にも毎週講座は月曜の午後に開いております。
詳しくはホームページをご覧ください。