29/11/2025
『病院の車椅子使うから』
70代男性 身長が180㎝近くあるその方は
麻痺の有る右足をかばう様に慎重にタクシー迄歩いて行った。
訪問介護の通院同行支援
11月の最初の連休明け定期受診の為15分程でその病院に到着
早速入口に置かれている数台の車椅子からその方のサイズに合ったモノを選定。
消えかけたマジックで書かれた『寄贈』の文字と予想を超える
重さ、介助ブレーキが付いていないのがその車椅子が相当古い
モノであることを示唆しています。
様々な患者様が来られるので、特定の方に合わせた車椅子を準備するのは困難である事は充分に理解できる。
また上半期だけで医療機関(病院・診療所・歯科医院含む)の倒産が 35件 に達し、過去最多のペースだとワイドショーで取り上げられた位、病院の経営も困難を極めている中で不特定の方が利用されるモノに特化してお金をかけるのも私自身も「どうかな?」と思ってしまう。
話は戻ってその車椅子に乗って受付を済まし採血をするため処置室へ。昼の受診にも関わらず時間を要した。
程なく採血も終り、2階に在る受診科へ移動。
『検査結果が出るまで1時間くらいかかるから診察は予定通り14:00くらいかな?』
そう言って最初は待っている時間二人でお話ししながら時間を費やしていましたが14:00を超えても一向に呼ばれる気配もなく、そうしていると段々と口数も極端に減り、表情も少し険しくなってくるのがわかりました。
『お尻が痛い』 座面のシートはクッション性がなく
その方の体格からして臀部に係る負担は大きい様子
「座布団でも用意しておけば良かった。」
配慮が欠けていたことを後悔しながらも
只見守るだけしかありませんでした。
結局予定時間を15分程超えて呼ばれ3分程の診察を終え
その後、会計を済ましタクシーに乗って帰宅。
その間車椅子の乗車時間は1時間以上あったわけで
臀部にかかる負担も大きかったように思います。
臀部にかかる鉛直力(N)=mg(1-身体で支える分の割合)
局所圧(N)=
{圧集中係数(ここではクッションが薄い・硬いの評価)×(臀部にかかる鉛直力)}÷(臀部と座面の接触面積)㎡
「当時は理解できてたのかな?」
と思うくらい今は忘れてしまった物理
四半世紀ぶりに扉を開けた参考書を基に車椅子に乗車した際に
臀部に集中的にかかる圧の式をたててみた。
(間違ってたらごめんなさい)
車椅子に座っている(タッチの定理)ので触れているものにしか力は働かない事を考えるとその人の体重が圧に大きく影響する事がわかります。それを緩和するのには例えば腕で支える等の身体で支える割合を大きくするか、圧集中係数を小さくする⇒(柔らかいものにする)かですが腕で臀部の圧の負担を軽減するのには限界があります。
そうなると ⇒ 車椅子の選定(座面シートのクッション性)が如何に重要かがわかります。