13/11/2025
萩元 慎二 医長(現 鳥取県立中央病院)の研究報告が日本周産期新生児医学会雑誌にパブリッシュされました。
極低出生体重(VLBW)児では直接ビリルビン(DB)の上昇がみられることが少なくないですが、その頻度や要因は十分わかっていませんでした。今回、過去4年間に出生した先天異常のない161例のVLBW児を調査しました。
結果、日齢14から修正36週までにDB値が複数回2 mg/dL以上となった症例が9例(5.6%、ケース群)みられました。同時期に同じ在胎週数で出生し、DB値が2 mg/dL未満で推移した27例をコントロール群として作成して臨床因子を比較検討しました。ケース群では男児、腹部手術の施行、DB値が2 mg/dLを超える直前1週間における2日以上の絶食が有意に高頻度でした(89 vs. 44%、56 vs. 4%、44 vs. 11%)。
結論として、先天異常のないVLBW児の5.6%に高DB血症の遷延がみられ、男児、腹部手術の施行、長期間の絶食がその発症に関わることが示唆されました。
高DB血症はUBアナライザーによるUB測定を不正確にしうることから、特に早産児の臨床において重要な課題となっています。ひきつづき、早産児ビリルビン脳症の撲滅を目指して、包括的に研究活動を進めたいと考えています。
一般社団法人 日本周産期・新生児医学会が発行. フリーアクセス