01/06/2017
AEDは電気ショックでふるえた状態の心臓を元に戻すための『いのちを守る機械』です。 『心臓突然死』と呼ばれる、心臓を起因とする突然死の増加を背景に2000年を境に世界的にAEDの普及がはじまり、救命の現場で使われるようになりました。その普及の目的は救命初動の質を高め、傷病者の生存率を高めることです。 日本では2004年7月から公共の場での設置と使用がはじまり、今日では以前と比べ、街中でも見かけるようになってきました。 けれど、 「なんとなくは知っている」 「調べた事、聞いた事はあるけどハッキリとは分からない」 「分かっているけど、だれかに説明するほどでは」 といった方が多いのではないでしょうか? この記事ではそうしたAEDについてもう少し詳しく知りたいといった方に向け、AEDについて解説したいと思います。 AEDとは AEDは心臓がふるえて(けいれん)、血液を送り出すポンプ機能を失った状態の傷病者に対し、心電図を解析し、必要に応じて電気ショックを与え、心臓を正常なリズムに戻すための救急医療の機械です。 心臓マッサージ(胸骨圧迫)や人工呼吸と合わせて使うことで救急隊到着までの救命の質を大きく高めることができます。 AEDの正式名称 AEDの名称・読み方はそのまま「エーイーディー」と読みます。 英語ではAutomated External Defibllirator。日本語にした時の正式名称は「自動体外式除細動器」というなんだか長い名前になります。 言葉を一つずつ分解すると『自動化』された『体外式』の『除細動』の機械ということを意味します。 この記事で度々登場する『心臓のふるえ』のことを医学的に『心室細動』とよび、除細動とはこの『ふるえ』を電気ショックにより取り除くことを意味します。 心臓のふるえ|心室細動について 上のイラストは正常な心臓が突然ふるえて、完全に停止するという『心臓突然死』の経過を簡単に表したものです。 普段、心臓は休むことなく、収縮と拡張を繰り返し血液を全身に送り出す役割を果たしています。 心臓は『ふるえた状態』、心室細動になってしまうと、全身に血液を送ることができなくなります。心臓の正常なポンプ機能が失われると時間の経過とともに、1分ごとに7%〜10%ずつ救命率が低下すると言われ、いかに早く救命処置を初めるかが生存の鍵を握ります。 また、心臓のふるえが自然と治ることはほとんどなく、唯一、電気ショックでのみ元の心臓の動きに戻すことが可能です。また、その効果が高い時間は心臓のふるえがはじまってから5分以内です。 心臓のふるえが起きる主な原因 急性心筋梗塞などの心疾患の進行で起こるもの 溺水、窒息などの呼吸停止から起こるもの 先天性の心疾患で起こるもの 運動中の心停止 胸部への衝撃によって起こるもの(児童に多い) 増加する心臓突然死 2016年、日本ではおよそ年間19万人の方が心臓の病気で亡くなっています。そして、そのうち発症から24時間以内の突然死は7万人と推計され原因の8割が心室細動と言われています。 こうした心臓を原因とした24時間以内の突然死を『心臓突然死』と呼び、今では交通事故死の約17倍の数まで増えてきました。 心臓突然死は発生の予測が難しく、発生後の救命対応の質を高めることで、増加に歯止めがかけられます。 電気ショック|除細動 上のイラストはAEDで電気ショックを行い、心臓のふるえを取り除いたときの経過を表したものです。 AEDは電気ショックにより止まった心臓を動かすのではなく、ふるえた心臓に強い電気を流すことで、ふるえた心臓の電気信号をリセットさせ正常なポンプの動きに戻るよう促します。 そしてAEDはこのふるえた状態を感知した場合のみ電気ショックができるように作られています。 心臓が正常に動いている場合や心臓が完全に止まっている場合には電気ショックは行えないように作られています。 AEDの使い方 AEDを用いた電気ショックは医師の行う電気ショックの機械とは異なり、多くのことが自動化されていて、安全に一般市民でも迅速な電気ショックができるように設計されています。 また、使い方についても、初めての人でも操作に迷わないよう、電源を入れると音声や本体の液晶、LEDの光などで操作方法を案内する機能も備えています。操作の流れについては以下の記事をご覧ください。 参考:AEDの使い方とAED使用上の注意点 医師による電気ショック|除細動 上の写真は医師が除細動器で行う電気ショックのイメージです。 救急医療をテーマとした映画やドラマで登場することもあり、心臓に電気ショックといわれて連想しやすいイメージではないでしょうか? 医師が電気ショックを行う場合は機器の操作のほとんどが手動であるため、 心電図を読み、傷病者の状態を判断する 電気ショックの強さを決める 傷病者の症状や状況に応じた対応 といったような専門性の高い判断と操作が求められます。 AEDによる電気ショック|除細動 AED本体の電源を入れ、電極パッドを倒れた人の胸に貼り、ボタンを押す。AEDの操作はこれだけです。 それだけで、AEDが心電図を解析し、倒れた人の心臓がふるえているかをチェックします。そして、AEDは心臓のふるえを感知し、電気ショックが有効だと判断した場合のみ、電気ショックを行えるように作られてます。そのため、AEDを誤って使用し、怪我を負わせたという事例は発生しておりません。 そのため、AEDがあれば、一般市民でも救急隊の到着前に意識と呼吸のない心停止の疑いのある傷病者に対し、より質の高い救命を安全に行うことが可能になります。 AEDの効果 医学的なデータによると、心臓の機能が停止し、何もしないと1分ごとに助かる割合が10%ずつ低下していくといわれています。 2017年現在、119番通報から救急隊が到着するまでにおよそ8.6分。通報までに2分がかかるとすると、10分は経過することが予測されます。もし、その間何もしなかった場合は生存率は10%を下回ってしまいます。 ですが、AEDを用いた救命を行うと、生存率の低下を1分ごとに3%から4%へ抑えることができ、AEDを用いた質の高い救命を行うことで、その割合をおよそ4割まで高めることができます。
http://hands-for-life.jp/aboutaed/
AEDは電気ショックでふるえた状態の心臓を元に戻すための『いのちを守る機械』です。 『心臓突然死』と呼ばれる、…