日本オランダ徒手療法協会(jadmt)

日本オランダ徒手療法協会(jadmt) 🧠 治療 × 運動 × 栄養の体系的スキル
🌍 “治るべきして治らない患者さん”をゼロに
その先にあるのは復帰を諦めない社会です
👉 登録はこちら→https://lin.ee/bsM86PQ

「野球肘」を“肘だけ”で診ていませんか?〜 DMTが教える、治らない理由の真実 〜 |野球肘という鑑別…どこまで深く考えていますか?後半ではレアなケースの紹介、鑑別方法、検査を載せました。経験が浅く、鑑別の苦手な先生やトレーナーは是非、最後...
26/10/2025

「野球肘」を“肘だけ”で診ていませんか?
〜 DMTが教える、治らない理由の真実 〜
 |
野球肘という鑑別…どこまで深く考えていますか?
後半ではレアなケースの紹介、鑑別方法、検査を載せました。
経験が浅く、鑑別の苦手な先生やトレーナーは
是非、最後まで目をとおしてください。
 |
投げすぎて駆け込んできた野球少年。
治療家やトレーナーなら誰もが「内側上顆骨端線」「UCL炎症」「円回内筋腱膜」あたりを考えるでしょう。
その仮説で実際、多くのケースは治せます。
でも、「治らないケース」には、別のストーリーが隠れています。

ここだけ知りたい方は、後半だけチェックしてください。


◆ケース◆
⚾️カーブを覚えたエースを襲った右肘の激痛
〜12才♂内側上顆骨端症/UCL損傷疑い〜
小6男子、リトルリーグの強豪チームのエースピッチャー、今年にカーブを覚えて大会で連投(投球制限85球)。すると右肘内側が痛くなり始める。それでも無理をして連投。先週末の試合でカーブを投げたところで激痛が走り、それ以上、投げられなくなりました。カーブの時はどうしてもストレートを投げるのと違い、肘が少し低い位置で投げてしまう。
• カーブを投げ始めた直後から右肘内側に痛み
• 連投により激痛で投げられなくなり来院
• 骨端線損傷+UCL炎症+円回内筋過緊張を疑う
• 胸椎の可動性低下でリリース時に肘が下がり、
 内反モーメント増大 → 内側上顆へストレス集中か?

≪今(現状の自覚症状+服薬)≫
* 主訴:右肘内側の鋭い痛み、特にカーブ投球時に激痛で投げられない
* 部位:右肘内側(内側上顆〜尺骨神経溝周囲)
* 痛みの性状:鋭痛+牽引痛/放散痛なし(局所痛優位)
* 強さ:NRS 8〜9(カーブ投球時)
* 誘発:ボールリリース時、肘伸展+回外位で再現
* 緩和:安静で軽減、アイシングで改善
* 機能制限:投球不能、日常動作では軽度疼痛
* 二次症状:肩〜前腕の張り感(代償動作)
* 服薬:なし
* 既治療:なし(自己判断で休養)
関連痛レベル推定
* C6–C7:上肢伸筋群支配、肘伸展ストレス関連 ○
* C7–T1:前腕屈筋群・尺骨神経経路との関連 ◎
* T3–T4:肩甲帯安定筋の筋緊張による二次性負荷 △
関連痛情報のまとめ
* 主要疑いレベル:C7–T1 > C6–C7
* 関連痛パターン:肘内側〜前腕内側に鈍痛、握力低下や尺骨神経症状を伴うことも
* Facet痛 vs Disc痛:Discは持続痛・夜間痛あり、今回はFacet/筋付着部由来が優勢
* 隣接セグメント連鎖:C7–T1 ↔ 肩甲胸郭リズム ↔ 上腕骨内旋制限 ↔ 肘内側ストレス
ターゲット組織の推定:
① 右上腕骨内側上顆骨端線/UCL(内側側副靭帯)
② 円回内筋・長掌筋起始腱膜
③ C7–T1レベルの神経連鎖/前腕屈筋群筋膜連鎖

≪経過≫
* 初発:連投による徐々の痛み → 試合中カーブ投球で激痛発生
* 経過:安静で軽快するも再投球で再燃 → 異常な治癒経過(再負荷性)
* 発症時炎症:急性期48hは強い炎症反応 → 現在も疼痛強い
* 慢性化リスク:成長期の骨端障害+再負荷 → 高リスク

≪通常の仮説ストーリー/臨床推論≫
* ターゲット組織:①内側上顆骨端線 ②UCL深層線維 ③円回内筋腱膜
* 現在の病態:投球時の過伸展+外反ストレスにより骨端線損傷/靭帯炎症
* 根本原因:
1. メカニカル過負荷(フォームの崩れ+投球過多)
2. アライメント破綻(胸椎後弯+骨盤前傾不足)
* 仮説ストーリー:
胸郭可動性の低下により、リリース時に肘が低下し内反モーメントが増加。内側上顆・UCLへ牽引ストレスが集中し、成長軟骨に炎症を誘発。円回内筋の緊張が残存疼痛を維持している。

検証プラン(初回〜2回目)
* 初回:疼痛誘発+フォーム観察+胸椎PA圧評価
* 2回目:安静+フォーム修正後の再評価
* 医療連携:X線で骨端線開大/UCL損傷確認

今後の臨床的アプローチ指針
* 介入方針
・初期:安静+疼痛コントロール(アイシング/低負荷運動)
・短期:胸椎・肩甲帯モビリゼーション/体幹回旋運動
・栄養:Ca+VitD+タンパク摂取強化
・セルフケア:ストレッチ+フォーム修正ドリル
* 予後/評価指標
・NRS(痛み)、肘伸展ROM、投球可動域、フォーム動画解析

セルフマネジメント処方
* エクササイズ:
1. 肩甲胸郭リズムドリル(10回×2)
2. 胸椎伸展エクササイズ(フォームローラー)
3. 前腕屈筋群ストレッチ(15秒×3)
* 生活動作:投球制限(4週間)、練習後アイシング
* 睡眠/栄養:7h睡眠確保、牛乳・小魚・卵を1日3回摂取

▼ ▼ ▼

【他の可能性??】不足情報(Yes?/No?)
1. 小指や薬指にしびれはありますか?
2. 肘を曲げ伸ばしするだけでも痛みますか?
3. 夜間痛や安静時痛はありますか?
4. 投球フォーム修正指導を受けた経験はありますか?
5. 最近、身長が急に伸びましたか?
6. 食事で乳製品や魚をあまり食べませんか?

▼ ▼ ▼

◆臨床推論の再構築◆
「どこをどう治すか」よりも、
「なぜそこが壊れたのか」を考えること。
肘だけではなく、運動連鎖を含む運動構造・筋骨格系・神経系・ファシア・栄養…まで含めて推論する。
💬たとえば
• 小指のしびれ → 尺骨神経の絞扼(Cubital Tunnel)
• 夜間痛 → 骨端線炎や神経過敏
• 身長の急伸 → 成長期の組織脆弱性
• 栄養不足 → 修復遅延+慢性化
ひとつの「Yes」で、仮説ストーリーは全く変わります。
主だった他の可能性について考えられるリスクについて、以下の項目について下記に箇条書きしました。
・設問する『目的』
・Yesの場合に疑われること
・仮説ストーリーの変化
・追加検査

大切なことは、決めつけをせずに、多角的な視点を残したまま、一度立てた自分の『仮説ストーリー』に無理がないか、振り返りをすること。
そして、『仮説ストーリー』に無理があり、治療経過も芳しくないのであれば、素直に自分の間違いを認めること。時に思い切って他の『仮説ストーリー』を採用する勇気を持てるようになれれば、『仮説を変えられる』一流の治療家・トレーナーだといえます。

▼ ▼ ▼

🩺 設問①
「小指や薬指にしびれはありますか?」
✅ 目的
→ 尺骨神経(C8–T1支配)の絞扼・刺激症状をチェック。
(内側上顆部を通過する「尺骨神経溝」での圧迫を確認する質問)
⚠️ Yes の場合に疑われること
* 尺骨神経炎、肘部管症候群(Cubital Tunnel Syndrome)
* 円回内筋・屈筋群筋膜の過緊張による神経絞扼
* 投球フォーム不良による反復性牽引ストレス
🔍 仮説ストーリーの変化
→ 「単なるUCL炎症・骨端症」ではなく、神経連鎖(C8–T1)を含む複合病態へ修正。
→ ターゲット組織:
① 尺骨神経周囲組織
② 円回内筋/尺側手根屈筋の腱膜
③ C7–T1神経根
🧪 追加検査
* Tinel sign(尺骨神経叩打テスト)
* Elbow flexion test(90秒肘屈曲でしびれ誘発)
* 神経滑走テスト(ULNT3)
* 感覚テスト(小指・薬指内側)

🩺 設問②
「肘を曲げ伸ばしするだけでも痛みますか?」
✅ 目的
→ 関節内構造 or 筋腱付着部の病変を区別する質問。
(動作時痛があれば筋・靭帯/静止時痛なら関節・骨端の可能性)
⚠️ Yes の場合に疑われること
* 内側上顆骨端症(成長軟骨損傷)
* UCL損傷/炎症
* 屈筋腱膜炎(円回内筋・長掌筋起始部)
🔍 仮説ストーリーの変化
→ 「投球時のみの疼痛」から「動作全般で再現される構造的損傷」へ移行。
→ 炎症期・組織損傷が進行しているため、安静・画像診断優先。
🧪 追加検査
* Valgus stress test(疼痛/不安定性)
* Moving valgus stress test(角度特定)
* 圧痛部位の特定(内側上顆・骨端線)
* X線(骨端線の開大確認)

🩺 設問③
「夜間痛や安静時痛はありますか?」
✅ 目的
→ 炎症の強さや骨・神経病変/重篤な病態のスクリーニング。
⚠️ Yes の場合に疑われること
* 強い骨膜炎/骨端線炎(成長期のリトルリーグ肘)
* 感染性炎症・骨髄炎など重度炎症
* 夜間痛=交感神経緊張・血流障害による神経過敏化
🔍 仮説ストーリーの変化
→ 「筋・腱付着部炎症」から「骨端軟骨病変+炎症持続型」へ拡張。
→ 組織再生期に移行できていない異常治癒経過として再評価。
🧪 追加検査
* 熱感/発赤/腫脹チェック
* 血液検査(CRP・WBC)
* X線/MRI(骨端線炎・骨髄炎除外)
* 体温測定・夜間疼痛日誌

🩺 設問④
「投球フォーム修正指導を受けた経験はありますか?」
✅ 目的
→ フォーム要因(メカニカルストレス)が改善されているかを確認。
⚠️ Yes の場合に疑われること
* 技術指導が入っているのに痛みが再発 → 構造的損傷または代償運動未改善
* 指導なしの場合:**フォーム由来ストレス(肘下がり/体幹回旋不足)**が主因
🔍 仮説ストーリーの変化
* Yes → 「内部組織損傷の残存」中心に再仮説
* No → 「メカニカルストレス+運動連鎖破綻」中心に再仮説
🧪 追加検査
* 動画フォーム解析(肩〜骨盤リズム、肘角度)
* 投球中の体幹回旋速度・肩外旋角度の比較
* フォーム修正後の疼痛再評価

🩺 設問⑤
「最近、身長が急に伸びましたか?」
✅ 目的
→ 成長スパート期による骨・筋・腱の成長差(成長痛リスク)を確認。
⚠️ Yes の場合に疑われること
* 骨端線の未成熟+牽引ストレス(内側上顆骨端症)
* 筋腱緊張の増加による牽引負荷
* 成長スパートでの栄養/睡眠不足も併発しやすい
🔍 仮説ストーリーの変化
→ 「フォームの問題」よりも「成長期組織の脆弱性+負荷過多」を主因として再構築。
→ 治癒経過:自然回復力の低下+微小損傷の蓄積型へ。
🧪 追加検査
* 成長曲線の確認(学校記録)
* 下肢長計測/骨盤アライメント確認
* 骨端線画像(X線)

🩺 設問⑥
「食事で乳製品や魚をあまり食べませんか?」
✅ 目的
→ 栄養由来の骨・腱・靭帯回復力低下をチェック。
⚠️ Yes の場合に疑われること
* Ca・Mg・VitD・コラーゲン不足による骨端線脆弱性
* タンパク質不足による筋腱回復遅延
* ミネラルバランス不良による筋緊張・疲労蓄積
🔍 仮説ストーリーの変化
→ 「フォーム+過負荷」ではなく、栄養要因による治癒遅延を主要因に追加。
→ 炎症消退せず「異常な治癒経過(修復不全型)」へ。
🧪 追加検査
* 栄養評価(Ca・VitD摂取量、タンパク質g/kg)
* 栄養問診表/食事記録
* 血液検査(25-OH VitD)
* 管理栄養士との連携

▼ ▼ ▼

🧠まとめ
「野球肘」を“肘だけ”で診る時代は終わりました。
胸郭、神経、栄養、そして心。
DMTでは、治療×運動×栄養のすべてを科学的に統合して、
本当の意味で“再発させない”治療を目指しています。

もしあなたが実践力を身につけたい治療家・トレーナーなら、
「肘だけじゃない野球肘の真実」を一緒に学びませんか?
DMTコミュニティで、毎週“実践で使えるケース/臨床推論”を配信中。
👉 https://lin.ee/UOR2Io4
公式LINEにお友だち登録後、「DMTコミュニティ」とメッセージを送ってください。
#野球肘

#徒手療法
#臨床推論

#スポーツ障害予防

【note更新のお知らせ】 📘No.3|治療家・トレーナーの“あるある悩み”を徹底整理――再発予防と成果に結びつくDMT流アプローチ「患者さんがまた再発してしまう」「セミナーで学んだのに、現場で活かせない」そんな“現場の壁”を感じたこと、あ...
15/10/2025

【note更新のお知らせ】

📘No.3|治療家・トレーナーの“あるある悩み”を徹底整理
――再発予防と成果に結びつくDMT流アプローチ

「患者さんがまた再発してしまう」
「セミナーで学んだのに、現場で活かせない」

そんな“現場の壁”を感じたこと、ありませんか?

DMTでは、再発や伸び悩みの背景を
**「治癒経過を阻害する7つの要因」**で整理し、
徒手×運動×栄養を“線でつなぐ”臨床思考を共有しています。

🔹痛みが消えた=治癒ではない
🔹ゴールから逆算するリハビリ設計
🔹心理・栄養・循環を含めた統合的視点

現場を変えるのは、技術より「考え方」。
DMT流の“統合臨床”を、ぜひ覗いてみてください。

👉 note記事はこちら
https://note.com/dmt_community/n/n0b68fa0a4b9e

#理学療法 #スポーツトレーナー #徒手療法 #再発予防 #臨床推論

【note更新のお知らせ】『再発しない治療のために必要な根治療法とは?』✅ 治療がうまくいかない典型的なケース✅ 治癒を阻害する要因✅ DMT問診の臨床的活用臨床現場ですぐに役立つ内容です。ぜひご覧ください。👉 記事リンク:https://...
25/09/2025

【note更新のお知らせ】

『再発しない治療のために必要な根治療法とは?』

✅ 治療がうまくいかない典型的なケース

✅ 治癒を阻害する要因

✅ DMT問診の臨床的活用

臨床現場ですぐに役立つ内容です。ぜひご覧ください。

👉 記事リンク:https://note.com/preview/nafd801c94c15?prev_access_key=3ddeb78d120f4b1c6101b500fb3259ba

#再発しない治療 #根治療法 #徒手療法 #運動療法

【ブログ再開のお知らせ】これまで多くの現場や治療家と関わってきました。その経験を振り返り、未来に向けて何を伝えるべきか――そんな想いでnoteを再開しました。👉記事はこちら:https://note.com/dmt_community/n/...
17/09/2025

【ブログ再開のお知らせ】

これまで多くの現場や治療家と関わってきました。

その経験を振り返り、未来に向けて何を伝えるべきか――

そんな想いでnoteを再開しました。

👉記事はこちら:https://note.com/dmt_community/n/nfb6ef8fc9c49?sub_rt=share_pb

住所

4-5-48 フォーサイト南麻布4F
Minato-ku, Tokyo
106-0047

営業時間

月曜日 10:00 - 17:00
火曜日 10:00 - 17:00
水曜日 10:00 - 17:00
木曜日 10:00 - 17:00
金曜日 10:00 - 17:00

ウェブサイト

アラート

日本オランダ徒手療法協会(jadmt)がニュースとプロモを投稿した時に最初に知って当社にメールを送信する最初の人になりましょう。あなたのメールアドレスはその他の目的には使用されず、いつでもサブスクリプションを解除することができます。

その診療所に問い合わせをする

日本オランダ徒手療法協会(jadmt)にメッセージを送信:

共有する

Share on Facebook Share on Twitter Share on LinkedIn
Share on Pinterest Share on Reddit Share via Email
Share on WhatsApp Share on Instagram Share on Telegram