医療法人清水会更水医院

医療法人清水会更水医院 長野駅から国道19号線を車で約30分。長野市信州新町の内科クリニックです。

当院は24時間態勢で訪問診療を行う在宅療養支援診療所です。地域唯一の診療所として、困ったときにはいつでも何でも相談できるかかりつけ医です。胃NBI拡大内視鏡、大腸内視鏡(ポリープ切除)、腹部、乳腺、甲状腺、心臓超音波検査、全身CT検査、X線検査などが可能です。これらの機器を使用して半日人間ドックも行っています。約130種類の漢方薬を使い分け、積極的に診療に役立てています。認知症の診断治療については、名古屋フォレストクリニックの河野和彦先生のご指導のもと、コウノメソッド実践医に登録して頂き、当院の診療の柱として力を入れています。

 #院長コラム #緩和ケア について皆さんは緩和ケアという言葉をご存知ですか?もし知っているのならこの言葉にどのような印象をお持ちですか?おそらく治療法がない末期のがん患者さんが受ける最後の手段、終末期医療のことだと思っている方がほとんどで...
20/10/2025

#院長コラム

#緩和ケア について

皆さんは緩和ケアという言葉をご存知ですか?もし知っているのならこの言葉にどのような印象をお持ちですか?

おそらく治療法がない末期のがん患者さんが受ける最後の手段、終末期医療のことだと思っている方がほとんどではないでしょうか。

実際には緩和ケアはがんの終末期だけではなくがんの診断時から始まるもので、がん以外の慢性疾患や神経難病、認知症など生命を脅かす重篤な疾患も対象になります。

また緩和の対象は身体の痛み以外に心理的、社会的な痛みやスピリチュアルな痛みも含まれます。
スピリチュアルな痛みとは生きる意味や価値を見失い、こんな状態で生きていたくないという苦痛のことです。

最近緩和ケアを専門に診療されている勤務医の先生のこんな文章を目にしました。

「僕は患者さんに寄り添うという言葉が好きではない。治らない病気の人にそのことを伝え、痛みがあるなら和らげる。
それ以上のこと(患者さんに寄り添って一緒に悩む)を目標にすると、緩和ケアのハードルが上がり非緩和ケア医に広がらなくなる」

これを読んで患者さんに寄り添うとはどういうことなのかを改めて考えてみました。

臨床clinicという言葉の語源は、ギリシャ語のクリニコス klinikos 「病人の枕元で話を聞くこと」で、かのヒポクラテスが弟子たちに医療でもっと大切なことであると教えた言葉と伝えられています。

われわれ臨床医の基本であり一番大事なことはやはり患者さんのお話を傾聴することで間違いないと思います。

がんの患者さんはだいたい多かれ少なかれ不安感を抱えていてベッドサイドでそれを傾聴することで気持ちが楽になり、痛み自体が和らぐことも多いものです。

もちろん先ほどの緩和ケアの先生も実際には傾聴や共感をしているに違いないですが、それは本当に一緒に悩むのではなく緩和ケアのプロの技術としてやっているのではないでしょうか。

患者さんとの距離感を適切に保つこと、これもプロの医療者としてとても大事なことだと思います。近づきすぎても遠すぎてもダメ。このあたりは自分も若い頃は上手くできなかった気がします。

実際には緩和ケアの現場で本当に患者さんと一緒に悩み、寄り添う先生も多いことでしょう。一方プロとしてドライに仕事を全うするやり方も私は間違いではないと思います。重要なのは方法ではなく結果として患者さんの苦痛が緩和できたかどうかです。

AIの進化は医療の分野でも日進月歩で、近い将来内科医の仕事のほとんどはAIにとって変わられるのではないかという予測すらあります。

患者さんの症状と検査データから正しい診断をつけ、最善の治療法を提示するだけならば、その通りかもしれません。しかし臨床で最も大切な傾聴と共感、それによる癒しという点は人間にしかできないことであり、これからも我々の仕事がなくなることはないと私は思います。

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長野市信州新町の
更水医院です🩺

TEL : 026-262-2027
長野県長野市信州新町新町606
休診日/ 木曜午後・土曜午後・日曜・祝日
HP:https://kousui-clinic.com
HPはプロフィールリンクから!

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 #院長コラム「症状がないから大丈夫」が一番危険。私が本気で  #大腸カメラ を勧める理由院長の清水です。「自分はがんにはならない」「まだ若いから大丈夫」 そう思ってはいないでしょうか。特に、おなかの症状が何もないと、なかなか検査を受ける気...
13/10/2025

#院長コラム

「症状がないから大丈夫」が一番危険。私が本気で #大腸カメラ を勧める理由

院長の清水です。

「自分はがんにはならない」「まだ若いから大丈夫」 そう思ってはいないでしょうか。特に、おなかの症状が何もないと、なかなか検査を受ける気にはなれないかもしれません。

しかし、多くの #大腸がん は、自覚症状がないまま進行します。​症状が出てからでは、すでに進行しているケースも少なくありません。だからこそ、私たちは症状のない方にこそ、大腸カメラ検査を受けていただきたいと強く願っています。

大腸カメラは、大腸の粘膜をすみずみまで直接観察できる唯一の検査です。便潜血検査では見つけられないような早期のがんや、がんになる可能性のあるポリープを発見し、その場で切除することまで可能です。

「検査はつらそう…」という不安もあるかと思います。しかし、ほんの少しの勇気が、あなたとあなたの大切な人の未来を守ることに繋がります。この記事では、消化器内科医が、なぜここまで大腸カメラを強くお勧めするのか、その理由をお伝えします。

📍大腸カメラでなければ“見えない”ものがある

大腸カメラの最大のメリットは、大腸の中を直接、鮮明な画像で観察できる「診断能力の高さ」にあります。ミリ単位の小さなポリープや、ごく早期のがん細胞が潜む粘膜のわずかな色の変化まで、見逃さずに捉えることができます。

📍大腸カメラで発見できる主な病気

・大腸がん
・大腸ポリープ(腺腫など)
・炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病など)
・大腸憩室症
・虚血性腸炎

特に重要なのは、がんになる前の「ポリープ」の段階で発見し、切除できることです。ポリープを切除することは、将来の大腸がんを予防することに直結します。検査と同時に治療まで行える点は、大腸カメラの非常に大きな利点です。

📍特に、大腸カメラ検査をお勧めしたい方

一つでも当てはまる方は、ぜひ一度、消化器内科にご相談ください。

・ 40歳以上で一度も大腸カメラを受けたことがない方
・健康診断の便潜血検査で「陽性」を指摘された方
・血便や便に血が混じる症状がある方
・便秘や下痢を繰り返している方
・便が細くなった、残便感がある方
・ご家族(血縁者)に大腸がんになった方がいる方
・過去に大腸ポリープを指摘されたことがある方

📍不安なく検査を受けていただくために

当院では、患者様が安心して検査を受けられるよう、様々な工夫を凝らしています。

・経験豊富な医師による、苦痛の少ない挿入
・熟練した医師が、お腹の張りや不快感を最小限に抑えながら、丁寧かつ迅速に検査を行います。
・鎮静剤(静脈麻酔)の使用

ご希望に応じて鎮静剤を使用します。ウトウトと眠っているようなリラックスした状態で、苦痛を感じることなく検査を終えることができます。多くの方が「気づいたら終わっていた」とおっしゃいます。

📍日帰りポリープ切除に対応
検査中に切除可能なポリープが見つかった場合は、その場で切除します。改めて別の日に治療を受ける必要がなく、患者様のご負担を軽減します。

📍徹底した衛生管理
内視鏡は、ガイドラインに準拠した方法で毎回徹底的に洗浄・消毒しています。感染症の心配なく、安心して検査をお受けいただけます。

📍最後に:あなたと、あなたの大切な人のために

大腸がんは、早期に発見すれば決して怖い病気ではありません。そして、その最も確実な方法が、大腸カメラ検査です。

「検査を受けよう」と決意するには、少し勇気がいるかもしれません。しかし、その一歩が、ご自身の健康を守り、ひいてはご家族を安心させることに繋がります。

どんな些細なことでも構いません。まずは一度、お気軽にご相談ください。私たちが、あなたの健康を全力でサポートします。

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 #院長コラム芸者ワルツ-  #在宅医療 で軽度の  #認知症 を患っていた患者さんとご家族の物語です以前寄稿したコラムを掲載します。長野市と白馬村の中間にある山間地、通称西山地区。ここで在宅医療に携わり9年、ご自宅で看取らせていただいた患...
06/10/2025

#院長コラム
芸者ワルツ- #在宅医療 で軽度の #認知症 を患っていた患者さんとご家族の物語です

以前寄稿したコラムを掲載します。

長野市と白馬村の中間にある山間地、通称西山地区。ここで在宅医療に携わり9年、ご自宅で看取らせていただいた患者さん数十名。そんな中で思い出深い方々の顔は今でもすぐに頭に浮かぶ。

「この家に嫁に来て52年のうち27年、半分以上が介護だよ。ボランティアに来たようなもんさ」そう笑い飛ばすHさんの奥さん。

夫のHさんは若い頃からお酒が大好きだった。そのくせすぐに酔いつぶれては、小柄な彼女が重いHさんをおんぶして自宅まで運ぶことになり、ご機嫌なHさんは決まって十八番の「芸者ワルツ」を歌い始める。彼女はそれを苦々しく聞きながら黙って連れ帰るのだ。

年寄りの面倒を若い者がみるのが当たり前だった時代。奥さんは畑仕事の合間にHさんのご両親の介護を合計9年も続けて、ようやく解放されたはずだった。

しかし直後に、今度はHさんが脳出血で倒れる。リハビリで何とか日常生活を取り戻しつつあったが、その後の再出血で寝たきりとなったHさん。この後、彼女の長い長い介護生活は丸18年にも及ぶこととなる。

私が診療に当たったのは、7年前に誤嚥性肺炎を発症した時から。
当時は脳出血後遺症による嚥下機能低下のため、肺炎を頻繁に繰り返していた。それまで、その度に総合病院へ入院していたが、今後は在宅医療に切り替えて自宅でできる限りの治療をしよう、それでだめなら仕方ないと、奥さんも納得されたのである。

その後計6回も肺炎を発症したが、抗生剤と献身的な介護により、もうダメかという場面を何度も切り抜け奇跡的に回復した。その都度満面の笑顔で感謝を述べられ、新鮮な野菜を持たせてくれる彼女に応えるために、こちらもできる限りの在宅医療を提供した。

Hさんは重度の認知症だったが、昔の記憶は残っており時々面白いことを喋り出し和ませてくれた。

ある時は、突然「只今ご紹介にあずかりました組長のHでございます」と大きな声で挨拶を始め、奥さんもビックリするやら可笑しいやら。

私が「Hさん、調子はどうです?」と尋ねると、決まって「まあまあだな」と答える憎めないキャラクターは、芸者ワルツの時代から変わっていないのだろうなと想像した。

そんな在宅療養も終わりの時が近づいてきた。さらに嚥下機能が低下し、むせのために食べられなくなったのである。

経管栄養の選択はしない考えで、私も奥さんも一致した。それでもがむしゃらな彼女が1時間かけて少しずつ栄養剤をあげたおかげで、Hさんは何とか新年を迎えることができた。

そしてとうとう全く口にできなくなり、7日目の朝、息子さんに頬を撫でてもらった直後に大きな呼吸を一つして、Hさんは静かに息を引き取った。

看取りに訪れた私を、奥さんはいつもの笑顔で迎えてくれた。

普段と変わらない穏やかなHさんの顔を見て、不覚にも私の方が涙を抑えきれなくなった。そんな私を見送ってくれた彼女の目には涙はなく、その表情からは苦労を乗り越えてきた芯の強さを感じた。

最後の往診からの帰り道、朝焼けに染まる北アルプスの山並みが鮮やかに輝いていた。

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24/09/2025

この度インスタグラムを開設しました!

📍院長コラム
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📍豆知識

など、健康に役立つ情報を発信していきます。
ぜひお役立てください。

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新しいウェブサイトができました
13/08/2025

新しいウェブサイトができました

地域に寄り添い、人々の健康を守りたい。 それが私たちの医療に込める思いです。これまでもこれからも、私たちは地域と 共に歩み続けます。

今年のお盆休みです。12日、13日は通常通りに診療しております。
05/08/2025

今年のお盆休みです。12日、13日は通常通りに診療しております。

Facebookページをご覧の皆さま、新年あけましておめでとうございます。院長の清水慎介です。皆さまは昨年の紅白歌合戦をご覧になりましたか?B’zやMISIAはもちろん凄かったですが、今回特別枠として玉置浩二が39年ぶりに出場し「悲しみにさ...
31/12/2024

Facebookページをご覧の皆さま、新年あけましておめでとうございます。院長の清水慎介です。
皆さまは昨年の紅白歌合戦をご覧になりましたか?B’zやMISIAはもちろん凄かったですが、今回特別枠として玉置浩二が39年ぶりに出場し「悲しみにさよなら」を歌唱しました。
実は、たまたま年末のディナーショーで彼の生歌を初めて聴く機会がありました。それまで特別なファンというわけではなかったのですが、その歌声に深く感動し、特に「サーチライト」と「メロディー」のバラード2曲では思わず涙腺が緩み、本物のプロの歌の凄みに圧倒されました。
彼にはもちろん天賦の才がありますが、さらに加えてこれまで培った経験や技術がその歌声から滲み出ていました。
私も医療のプロである以上はその矜持を持ち、技術と知識の研鑽を怠らず、日々進化しながら患者さんに質の高い医療を提供していきたいと思います。
2025年は、日本が超高齢化社会に突入する重要な節目の年となります。医療界においても「2025年問題」と呼ばれる大きな課題が控えています。
団塊の世代が75歳以上となることで、医療費や介護費の増加が見込まれています。このため、私たち医療者にはこれまで以上の対応が求められます。
特に当地のように過疎化と高齢化が進行している中山間地域では、医療提供体制の維持が非常に困難な状況に直面しています。当地では医師不足や施設の老朽化が深刻化しており、地域住民の健康を守るための課題が山積しています。
私は上水内医師会会長として地区の医師たちと共に地域医療の現状と未来に向き合い、困難を乗り越えていく所存です。
本年も皆さまのご協力とご支援を賜りますようお願いいたします。そして、皆さまにとって素晴らしい一年となることを心よりお祈り申し上げます。

当院の年末年始のお休みは、このようになります。よろしくお願いします。
17/12/2024

当院の年末年始のお休みは、このようになります。よろしくお願いします。

院長です。11月17日午後2時から信州新町支所で地域住民の方を対象に認知症の講演を行います。既存の薬の副作用について、アルツハイマー型認知症の新薬について、予防のために避けたい生活習慣についてお話しします。入場無料ですのでお近くの方は気軽に...
10/11/2024

院長です。11月17日午後2時から信州新町支所で地域住民の方を対象に認知症の講演を行います。既存の薬の副作用について、アルツハイマー型認知症の新薬について、予防のために避けたい生活習慣についてお話しします。
入場無料ですのでお近くの方は気軽にお越しください。

外来予約開始のお知らせ当院は令和6年10月より、定期的に外来受診されている方を対象に予約制を開始いたします。これは人数を均等化することで外来の混雑を緩和することが目的です。もし都合がつかないときや、具合が悪いときには予約日以外の日に受診され...
30/09/2024

外来予約開始のお知らせ
当院は令和6年10月より、定期的に外来受診されている方を対象に予約制を開始いたします。
これは人数を均等化することで外来の混雑を緩和することが目的です。
もし都合がつかないときや、具合が悪いときには予約日以外の日に受診されても全く問題はありませんし、予約変更の電話連絡は必要ありません。
ご理解のほどよろしくお願いします。

お盆休みのお知らせです。今年は8月10日から15日までお休みします。ご不便をおかけしますが、どうぞよろしくお願いします。
01/07/2024

お盆休みのお知らせです。今年は8月10日から15日までお休みします。ご不便をおかけしますが、どうぞよろしくお願いします。

18/02/2024

病気や怪我などで命の危険が迫った状態になると約7割の人が、今後の医療やケアについて自分で決めたり、人に伝えたりすることができなくなると言われています。

私は父から更水医院を継承して今年で17年になります。当院は訪問診療も行っており、これまで毎年4−10名の方を在宅で看取らせていただいてきました。

数多くの終末期の方を見送ってきた私ですが、9年前に父が急性心筋梗塞で倒れた時には一転して家族の立場になり、終末期の医療をどうするかで大変に悩むこととなりました。

当時の父は危険な不整脈が出て頻繁に意識を失い、その都度電気ショックを必要とする状況で、急変の可能性がありました。本来なら医師である父に今後の治療の希望を聞いておくべきなのですが、そんな厳しい状況でも生きる希望を失わずに前向きな父を前にして、最悪の事態の話をすることを当時の私はためらっていました。

そんな中、ある日不整脈発作を起こした父はとうとう脳に大きなダメージを負うことになり、言葉を発することができなくなりました。このとき担当医の先生から不整脈に対してカテーテル治療の提案をされましたが、私の目からみるとすでに終末期の父に対してこれ以上の負担を強いることに容易には同意できませんでした。

しかし父の義理堅い性格を考えると、入院先の先生が提案された治療を断ることは絶対にしないだろうとも思われ、その治療の最終的な決定は医師であるキーパーソンの私に委ねられることになりました。

この時の辛さは今でも深く胸に刻まれています。終末期医療に携わる医師の私ですら、眠れなくなるほどに悩みました。結局数日後に父は急変して亡くなり、私は悩みから解放された代わりに大きな悲しみと喪失感を味わうこととなりました。

医療界では、ACP(アドバンス・ケア・プランニング)という言葉がこの5−6年の間に急速に広まってきました。一般の方には「人生会議」という訳語が普及しつつあります。

ACP(人生会議)とは、命の危険が迫った状態になる前にご本人とご家族や医療者や介護者などの関係者がくり返し話し合いを重ねることで、ご本人の人生観や今後の希望を理解し、いざという時にその意向に沿った治療やケアを行うことを指します。

我々医療者はこれまで、患者さんやご家族に対して治療法をいくつか提示して、選択を迫るというやり方をずっと続けてきました。しかし医学知識の乏しい患者さんやご家族にその選択を求めることは本当に正しいことなのでしょうか?

ACPでは医療者が患者さんの人生観や性格、これまでの人生で大事にしてきたことを理解した上で、ご本人やご家族と共に悩み考え、その方に最もおすすめの治療やケアを提案するという新しい選択のあり方を提唱しています。

ご本人が何らかの理由で意思表示ができない場合は、代わりにその人のことをよく理解しているキーパーソンが代理の意思決定者となります。その時も私が経験したようにキーパーソン1人に選択を迫るのではなく、医療者も含めて皆で本人の意思を推測し、よく考えた上で、共同で意思決定をすることが大切です。

その人のことを深く理解するためには普段の雑談を含めた頻繁な対話が必要です。しかし現実的には今の日本の医師は忙しすぎてなかなか患者さんのお話に耳を傾けることが難しい状況があります。

むしろ在宅医療の現場では訪問看護師さんやヘルパーさん、理学療法士さんやケアマネージャーさんなどの方が患者さんと接する時間が我々医師よりも長く、その方のことをより深く理解していることが多いかもしれません。

地域における医療介護関係機関が多職種で連携して、患者さんの情報を共有することがACPを推進する大きな力になると思います。

我々医師も、忙しさを免罪符にせずにできるだけ患者さんの声に耳を傾けていくことが求められています。

「病を診ずして病人を診よ」これは東京慈恵医大を開設した高木兼寛先生の140年前の言葉ですが、今もなお医療の基本であると私は思います。

住所

信州新町新町 606
Nagano-shi, Nagano
381-2405

営業時間

月曜日 08:30 - 12:30
16:00 - 18:00
火曜日 08:30 - 12:30
16:00 - 18:00
水曜日 08:30 - 12:30
16:00 - 18:00
木曜日 08:30 - 12:30
16:00 - 18:00
金曜日 08:30 - 12:30
16:00 - 18:00
土曜日 08:30 - 12:00

電話番号

+81262622027

ウェブサイト

アラート

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