21/11/2018
当院でも再発、難治性の潰瘍性大腸炎に対してMAF療法の治験に参加する方針としました。
“潰瘍性大腸炎患者に対する抗菌薬多剤併用療法についての説明(病院配布資料・2012/2/27)
1.臨床試験の目的
潰瘍性大腸炎はステロイド、サラゾピリンやペンタサなどの薬剤により、症状が改善して緩解状態になりますが、服薬していても症状が再発することが多く、また、内視鏡検査をしますと、炎症が持続していることがほとんどであります。このため、ご存知のように、難治性の特定疾患として医療補助もされています。これは、未だに原因が不明であり、原因治療ができないことがもとになっていると考えられます。
私たちは以前からこの潰瘍性大腸炎の原因を研究してきましたが、腸内細菌のうちFusobacterium variumという最近(バリウム菌)が、潰瘍性大腸炎の病気の粘膜に付着し病気を引き起こしていたり、または増悪する原因ではないかという結果を得ました。また、小規模な臨床試験で、この抗菌薬多剤併用療法で潰瘍性大腸炎が良くなったという結果も得たことから、多施設共同の臨床試験で多数例での試験を行い、従来の治療に加えた抗菌剤3種類(サワシリン1500mg、アクロマイシンV 1500mg、とフラジール750mg/日 2週間内服)による抗菌薬多剤併用療法の有用性を確認しています(臨床試験の形式で治療をおこなっており、保険治療としてはまだ認可されてはおりません)。これらの結果から、このバリウム菌を除菌する本治療法は、潰瘍性大腸炎の再発を防ぎ、完治させるために有効な治療法になるのではないかと考えています。
この治療法は高い有効性を持っていますが、一部の患者さんにおいて発熱、発疹などの副作用が見られています。そこで、より副作用が少なく、かつバリウム菌に対して抗菌活性のある抗菌薬としてホスホマイシンを選択肢、副作用の多いテトラサイクリンに代えた抗菌薬多剤併用AFM療法を新たに開発し、予備的な臨床試験を行ったところ、このAFM療法は発熱などの副作用が少なく、有効性も同等以上であることを確認しました。これは少数例での検討であることから、多数例の試験により、このAFM療法がATM療法と比べて副作用が少なく、有効性が同等以上かどうか検証したいと考えています。この試験を実施することで、より副作用の少ない治療法確立のため、またあなたの病気が改善して、ステロイド剤が必要なくなったり、同じ病気で苦しんでいる患者さんに今後より良い治療を行うための情報も得られれば、非常に有意義なことだと考えています。そのために是非、この試験にご協力をお願いいたします。この試験の内容がいかに述べられていますので、内容を十分に理解していただいた上で、この試験に参加するかどうか決めてください。
2.臨床試験の方法
具体的な試験方法についてご説明いたします。まず、血液検査と大腸内視鏡検査を行い、あなたの大腸粘膜を採取して、組織検査により炎症の状態を評価するとともに、バリウム菌に感染しているかどうかを検査します。そしsて、抗菌薬3種類(サワシリン 1500mg、ホスミシン 3000mg、とフラジール 750mg/日)を2週間服用していただきます。そして、副作用のチェックのため、来院時に血液検査や糞便検査などを行います。さらに、投与2週間後、投与後14週(3ヶ月後)に、血液検査と大腸内視鏡検査を再度行い、大腸炎の炎症が良くなっているか、この最近の感染がなくなっているか、再度検査します。
2週間後の次回の診察までの間に、あなたの症状を「潰瘍性大腸炎症状日誌」に記入していただきます。薬の副作用がなかったかどうかや、薬を服用してから病状がどう変化するか調べるためです。記入が必要なのは服用前と、服薬を始めてから2週間までの間、服薬後1周に1回14週後までです。この日誌は、私(担当医師)があなたの症状の経過を把握して、治療を進める上で参考にする大切なものですので、忘れずに記入して、診察日と検査日には必ず持参して私(担当医)に見せてください。最終の服薬終了12週後の検査日に回収いたします。
この治療の間には、今までの薬(ペンタサ、サラゾピリン、ステロイドなど)は飲んでいても結構ですが、原則として他の薬剤は飲まないようにして下さい。もし、お渡しした薬剤の効果が不十分で症状が悪化した場合は、ご遠慮なく私(担当医)まで相談して下さい。風をひいたりして急を要する場合には、市販の薬を服用してもかまいませんが、ただし、その薬剤の名称、服薬量および服用した期間を必ず日誌に記入しておいて下さい。また、この試験が終わった時点で症状や内視鏡所見が充分に改善していなかった場合には、この治療法を再度行うかあるいは別の治療法を選択するか、あらためて相談させて頂きますので、安心して下さい。” 潰瘍性大腸炎 AFM療法 入院記より引用