01/11/2025
『制御する細胞』
こんにちは、治療院百です。
皆さん、ワールドシリーズは観られてますか?
残念ながらドジャースは前回負けてしまい、2勝3敗と後がなくなってしまいました。
今日は岡山の誇りである山本由伸投手が先発を投げていますので、日本人の誇り大谷翔平選手、佐々木朗希投手と共に頑張ってもらい、3勝3敗のイーブンに是非戻してもらいたいですね!
さて日本人の誇りといえば、先月、ノーベル賞の受賞者が日本人から二人も選ばれました。
一人は金属有機構造体を開発しノーベル化学賞を受賞された北川進・京都大学特別教授、そしてもう一人は制御性T細胞を発見しノーベル生理学・医学賞を受賞された坂口志文・大阪大学栄誉教授です。
さらに先日、その坂口志文教授は、制御性T細胞に関する新たな発表を行われました。
それは「制御性T細胞の人工的な作製技術を開発した」というものです。
この制御性T細胞のお話はちょっと難しいので、まずは根本的なところから話を進めていきましょう。
そもそも、私たちの体の中には細菌やウイルス、さらには癌細胞などから身を守る仕組みとして免疫という機能が備わっています。
この免疫系には色々な働きをする免疫細胞があります。
侵入した外敵を排除するマクロファージやナチュラルキラー細胞(NK細胞)、外敵の排除や免疫系の司令塔など多様な働きをするT細胞、抗体を産生するB細胞などです。
制御性T細胞はこのT細胞のうちの一種類になります。
身体を守るためのT細胞なのですが、実はその中には、誤って正常な細胞や組織まで攻撃し炎症を引き起こさせるものが一定の割合で存在しています。
この過剰に働いて暴走してしまった細胞を抑制的に制御する役割を担っているのが制御性T細胞になります。
この制御性T細胞は、実は昔からその様な働きをする細胞が存在するはずと研究者の間では推論されていたけれど、発見されずにいたものでした。
それを、坂口志文教授を含む研究グループがその実態を特定し、機能を明らかにしたのです。
そして、その功績により、坂口志文教授は今年のノーベル生理学・医学賞を受賞しました。
先ほど、T細胞の中には正常な細胞や組織まで攻撃してしまうものがいるということを述べましたが、これが自己免疫疾患を引き起こす原因となっていて、クローン病や全身性エリテマトーデスなどのいわゆる難病と呼ばれるものはこの自己免疫疾患に多く含まれるのです。
坂口教授が発見された制御性T細胞はこれらを治療する上でとても有用だとされています。
そして、今回はそれを人工的に作る技術の開発に成功されたのです。
これまでの研究では、安定した細胞を人工的に作ることが難しかったのですが、研究チームはT細胞を特殊な方法で培養し、安定的な制御性T細胞に変化させることによって、それを可能にされました。
この方法で作製された制御性T細胞には、他の研究チームの検証により、皮膚の自己免疫疾患を発症させたマウスへの効果や、大腸炎や骨髄移植後に起きる合併症を再現させたマウスの症状改善など、すでに色々な報告があがっています。
今までなかなか難しかった自己免疫疾患などの治療が、この開発により飛躍的に進むことを期待したいです。
11月の休鍼日です。
11月
1日(土)…臨時休鍼日
6日(木)…休鍼日
13日(木)…休鍼日
20日(木)…休鍼日
24日(月・祝)…休鍼日
27日(木)…休鍼日
11月1日は私用により臨時休鍼とさせて頂き、代わりに3日に鍼療させて頂きます。
ご迷惑をおかけしますが、どうぞ宜しくお願い致します。
院長 増江譲二