04/12/2025
「捻挫や打撲の痛みがいつまでも引かない...」と感じていませんか?
それは、単なる『軽傷なけが』が長引いているわけでなく、「慢性疼痛(慢性痛)」という病態に移行している可能性があります。
ここでは、急性外傷(捻挫など)後の痛みが慢性化するメカニズムと、その対処法について解説します。
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🚨 捻挫打撲後の痛みが「慢性痛」になるメカニズム 🚨
1. 慢性痛の定義を知る 慢性疼痛とは、治療期間を超えて(一般的に3カ月以上)持続する痛みのこと。
• 急性痛:体の損傷を知らせる「警告信号」です。
• 慢性痛:損傷が治癒した後も鳴り続ける「不要な警告」と見なされます。
2. 痛みの主役が「組織」から「神経」へ 慢性痛の痛みは、単なる組織の損傷(器質的要因)だけでなく、神経系の中枢性感作や認知(考え方)といった非器質的要因が大きく関わっています。脳や脊髄などの神経が過敏になり、痛みを感じやすい状態に変化してしまうのです。
3. 負のループ「痛みの悪循環」 痛みが長引くと、以下の悪循環が生じます。
• 活動性の低下:痛いからと動かずにいると、筋肉が硬くなったり萎縮したりし、血流が悪化して、さらに痛みが悪化します。
• 心理的要因:痛みへの不安や恐怖(「破局的思考」と呼ばれるネガティブな感情)が警戒心を生み、行動を制限することで、さらに気分が落ち込むという悪循環を形成します。
✅ 慢性痛の治療目標とアプローチ
慢性痛は、器質的要因よりも非器質的要因(心理的・認知的要素)が大きくなるため、「痛みを完全にゼロにする」のは難しい場合があります。
治療の目的は、痛みの軽減に加え、生活の質(QOL)や日常生活動作(ADL)を向上させることにあります。
慢性痛の管理では、薬物療法だけでなく、運動療法や認知行動療法など、多角的なアプローチ(集学的治療)が重要とされています。
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鍼灸治療と捻挫後遺症について
捻挫(例:外傷性頸部症候群、頸椎捻挫)後の痛みは、鍼灸治療における療養費適応疾患の一つである「頚部捻挫後後遺症」として挙げられています。
柔道整復と捻挫打撲について
柔道整復は捻挫打撲などの外傷(けが)を施術する伝統医療です。
捻挫打撲の処置を早期に行い、『慢性疼痛』を作らないことが肝要ですので、適切な時期に適切な処置(冷却・固定・温法・後療法)をおこないましょう。
💡 まとめ:捻挫打撲は適切な処置で慢性痛を作らない。慢性痛は体と心の総合ケアが必要!
捻挫後の痛みが3カ月以上続く場合は、単なる安静だけでは改善しない可能性があります。痛みの専門家と協力し、身体的なアプローチ(運動やリハビリ)と心理的なアプローチ(認知行動療法など)の両面から取り組むことが、QOL向上への鍵となります。