01/04/2026
群馬県北毛保健生活協同組合 北毛診療所、医師の菅野です。
2026年4月の医療情報、三つ目です。RSウイルス感染症に対する抗ウイルス薬(まだ臨床試験中)は抗体薬やワクチンほど期待できないようです。
今回は抗ウイルス薬であるジレソビルのRSウイルス感染症で入院した乳児に対する効果について。
1.臨床的な疑問:入院中の乳児のRSウイルス感染症の治療においてジレソビルは安全かつ有効であるか?
→紹介文での答え:ジレソビルによる治療はRSウイルス感染入院乳児の症状を3日目でわずかに減少させるが臨床的には重要のものではない。
2.僕の意見:RSウイルス感染症に対する対処法は、今まで対症療法しかありませんでしたが、近年ワクチンや抗体療法の開発で重症化予防効果が期待できるようになりました。今回は治療薬(といっても抗ウイルス薬ですからウイルスをやっつけるというより増えるのを抑える)ですね。予想通りわずかな効果しかなさそう(というか意味のある差はなかった?)ですが(さらに治療を継続できないような有害事象もありそう)。
3.原文の紹介:Daily POEMSより
Zhao S, Shang Y, Yin Y, et al. Ziresovir in hospitalized infants with respiratory syncytial virus infection. N Engl J Med 2024;391(12):1096-1107.
まとめ
Study Design:二重盲検無作為割り付け比較試験(隠蔽化不明)
ジレソビルは経口投与のRSV Fタンパク阻害剤であり、ウイルス粒子と細胞膜の融合を阻害し、それにより細胞への感染を防ぐ。この業界スポンサー主導によるスタディの原著は、企業が雇ったメディカルライターが作成したもので、研究者は呼吸器合胞体ウイルス(RSV)感染症で入院した生後1ヶ月から24ヶ月の乳児を対象としていた。試験の第1段階では、55人の乳児を対象に試験薬またはプラセボを投与し、安全性のみを評価した。研究の第2段階では、256人の参加者が2:1の比率で、体重に基づく投与量(2.5kg~5.0kgの場合は10mg、5.0kg超~10.0kgの場合は20mg、10.0kg超~20.0kgの場合は40mg)のジレソビル、またはプラセボの投与を受ける群に、無作為に割り付けられた。プライマリアウトカムは、呼吸数、喘鳴と陥没呼吸の程度、乳児の全身状態のそれぞれに対して0~3点が割り当てられた12点の細気管支炎臨床スコアのベースラインから3日目(介入の2日目)の変化量であった。このスコアは高いほど、より重篤な疾患であることを示している。ベースラインでは、以下のごとく、両群の背景はほぼ同様だった:平均年齢は6.3ヶ月、73%が男性で、細気管支炎臨床スコアの平均は治療群で6.6、プラセボ群で6.9。解析は最終的にRSV感染が確認されそれぞれの投与を1回以上受けた244名を対象に、ITT(FAS)で行われた。3日目には、気管支炎重症度スコアの減少は、ジレソビル群がプラセボ群よりもわずかに多かった(3.4ポイント対2.7ポイント;P = 0.002)。しかし、絶対差はわずか0.7ポイントであり、少なくとも1.2ポイントという一般的に考えられている臨床的に重要な差の基準を満たしていなかった。有害事象については、両群間に重要な差は認められなかった。ただし有害事象により投与を継続できなかった例は、プラセボ群では0例であったのに対し、ジレソビル群では6例であった(P = 0.08)。
Zhao S, Shang Y, Yin Y, Zou Y, Xu Y, Zhong L, Zhang H, Zhang H, Zhao D, Shen T, Huang D, Chen Q, Yang Q, Yang Y, D**g X, Li L, Chen Z, Liu E, Deng L, Jiang W, Cheng H, Nong G, Wang X, Chen Y, Ding R, Zhou W, Zheng Y, Shen Z, Lu X, Hao C, Zhu X, Jia T, Wu Y, Zou G, Rito K, Wu JZ, Liu H, Ni X; AIRFLO Study Group. Ziresovir in Hospitalized Infants with Respiratory Syncytial Virus Infection. N Engl J Med. 2024 Sep 26;391(12):1096-1107. doi: 10.1056/NEJMoa2313551. PMID: 39321361.
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