北毛保健生活協同組合

北毛保健生活協同組合 群馬県渋川市内で医療・介護事業を展開しています。

1953年(昭和28年)に、渋川、北群馬の働く人々が中心に、いつでも安心してかかれる医療機関をつくろうと、「渋川診療所」が開設されました。
その後1977年(昭和52年)12月に渋川市有馬に62床の内科・小児科・精神科の病院としてスタート。13年の歳月を経て一般病床100床、療養型病床50床の現在に至ります。新緑に映える榛名山の東の麓、一見あります。

01/04/2026

群馬県北毛保健生活協同組合 北毛診療所、医師の菅野です。
2026年4月の医療情報、三つ目です。RSウイルス感染症に対する抗ウイルス薬(まだ臨床試験中)は抗体薬やワクチンほど期待できないようです。
今回は抗ウイルス薬であるジレソビルのRSウイルス感染症で入院した乳児に対する効果について。
1.臨床的な疑問:入院中の乳児のRSウイルス感染症の治療においてジレソビルは安全かつ有効であるか?
→紹介文での答え:ジレソビルによる治療はRSウイルス感染入院乳児の症状を3日目でわずかに減少させるが臨床的には重要のものではない。
2.僕の意見:RSウイルス感染症に対する対処法は、今まで対症療法しかありませんでしたが、近年ワクチンや抗体療法の開発で重症化予防効果が期待できるようになりました。今回は治療薬(といっても抗ウイルス薬ですからウイルスをやっつけるというより増えるのを抑える)ですね。予想通りわずかな効果しかなさそう(というか意味のある差はなかった?)ですが(さらに治療を継続できないような有害事象もありそう)。
3.原文の紹介:Daily POEMSより
Zhao S, Shang Y, Yin Y, et al. Ziresovir in hospitalized infants with respiratory syncytial virus infection. N Engl J Med 2024;391(12):1096-1107.
まとめ
Study Design:二重盲検無作為割り付け比較試験(隠蔽化不明)
ジレソビルは経口投与のRSV Fタンパク阻害剤であり、ウイルス粒子と細胞膜の融合を阻害し、それにより細胞への感染を防ぐ。この業界スポンサー主導によるスタディの原著は、企業が雇ったメディカルライターが作成したもので、研究者は呼吸器合胞体ウイルス(RSV)感染症で入院した生後1ヶ月から24ヶ月の乳児を対象としていた。試験の第1段階では、55人の乳児を対象に試験薬またはプラセボを投与し、安全性のみを評価した。研究の第2段階では、256人の参加者が2:1の比率で、体重に基づく投与量(2.5kg~5.0kgの場合は10mg、5.0kg超~10.0kgの場合は20mg、10.0kg超~20.0kgの場合は40mg)のジレソビル、またはプラセボの投与を受ける群に、無作為に割り付けられた。プライマリアウトカムは、呼吸数、喘鳴と陥没呼吸の程度、乳児の全身状態のそれぞれに対して0~3点が割り当てられた12点の細気管支炎臨床スコアのベースラインから3日目(介入の2日目)の変化量であった。このスコアは高いほど、より重篤な疾患であることを示している。ベースラインでは、以下のごとく、両群の背景はほぼ同様だった:平均年齢は6.3ヶ月、73%が男性で、細気管支炎臨床スコアの平均は治療群で6.6、プラセボ群で6.9。解析は最終的にRSV感染が確認されそれぞれの投与を1回以上受けた244名を対象に、ITT(FAS)で行われた。3日目には、気管支炎重症度スコアの減少は、ジレソビル群がプラセボ群よりもわずかに多かった(3.4ポイント対2.7ポイント;P = 0.002)。しかし、絶対差はわずか0.7ポイントであり、少なくとも1.2ポイントという一般的に考えられている臨床的に重要な差の基準を満たしていなかった。有害事象については、両群間に重要な差は認められなかった。ただし有害事象により投与を継続できなかった例は、プラセボ群では0例であったのに対し、ジレソビル群では6例であった(P = 0.08)。

Zhao S, Shang Y, Yin Y, Zou Y, Xu Y, Zhong L, Zhang H, Zhang H, Zhao D, Shen T, Huang D, Chen Q, Yang Q, Yang Y, D**g X, Li L, Chen Z, Liu E, Deng L, Jiang W, Cheng H, Nong G, Wang X, Chen Y, Ding R, Zhou W, Zheng Y, Shen Z, Lu X, Hao C, Zhu X, Jia T, Wu Y, Zou G, Rito K, Wu JZ, Liu H, Ni X; AIRFLO Study Group. Ziresovir in Hospitalized Infants with Respiratory Syncytial Virus Infection. N Engl J Med. 2024 Sep 26;391(12):1096-1107. doi: 10.1056/NEJMoa2313551. PMID: 39321361.

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01/04/2026

群馬県北毛保健生活協同組合 北毛診療所、医師の菅野です。
2026年4月の医療情報、二つ目です。ワクチンより効果がありそうな予防法の紹介です(ただしワクチンは定期接種A類で基本無料なのでコストの差は大きい)。
今回はRSウイルス感染症に対する妊婦への抗体製剤投与の新生児への効果について。
1.臨床的な疑問:RSウイルス前融合Fタンパク質(preF)ワクチンによる母体免疫はニルセビマブによる受動的乳児免疫(抗体薬)と比較してRSウイルス関連有害転帰の予防において効果が高いか低いか?
→紹介文での答え:このスタディでは、ニルセビマブ(=ベイフォータス:乳幼児に投与する場合同様の抗体薬であるパリビズマブ=シナジスはダウン症などのハイリスク児のみが対象で流行期に月1回投与を7-8回する必要があるが、こちらは対象がハイリスク児だけでなく1回投与で済む)による受動的乳児免疫は、妊娠32~36週に実施される母体RSウイルスpreFワクチン接種による免疫よりも、RSウイルス関連有害転帰のリスク低下と関連することが示された。世界保健機関(WHO)が推奨する妊娠28週から(早期ワクチン接種)のワクチン接種の有効性は依然として不明確である。
2.僕の意見:ここ最近RSV(乳児だけでなく高齢者に対しても)に対するワクチンや抗体薬の話題が多いと感じます。やはり症例数の多さとその病原性の高さ(もしかしたら高齢者に関してはCOVID-19に近いものがあるかも)がコロナ禍以降(というか最中は感染症が減少していてあまり注目を浴びなくなったのに対し、最近COVID-19以外の感染症も増加した)注目されているということでしょうか。効果の高さから考えると多くの人が受動免疫を選びそうですが、コストの差も気になるところですね。
3.原文の紹介:Daily POEMSより
Jabagi MJ, Bertrand M, Gabet A, Kolla E, Olié V, Zureik M. Nirsevimab vs RSVpreF vaccine for respiratory syncytial virus-related hospitalization in newborns. JAMA 2025 Dec 22:e2524082. Online ahead of print.
まとめ
Study Design:前向きコホート
母体RSVワクチン接種による乳児免疫とニルセビマブによる受動免疫の比較有効性は現時点で不明である。このスタディの研究者らは、2024年9月1日~12月31日生まれの乳児を対象に、フランス国立医療データシステムから得られたデータを分析した。RSV関連有害転帰予防の推奨手段には、ニルセビマブによる乳児受動免疫、または妊娠32~36週におけるRSV前融合Fタンパク質(RSVpreF)ワクチン(アブリスボ)による母体予防接種が含まれた。予防法選択は医療従事者と保護者によって行われた。除外基準には、両予防戦略の併用、および母体ワクチン接種後14日以内に出産した場合が含まれた。分娩室退院日、性別、在胎週数、居住地域についてマッチングが行われた。さらに、RSV関連転帰のその他の潜在的危険因子(例:気管支肺異形成症、嚢胞性線維症、胎便吸引症候群、先天性心疾患、食道または神経筋異常など)を調整するための多重解析が実施された。
研究適格基準を満たした85476人の乳児のうち、62340人(73%)がニルセビマブによる受動免疫を受け、23136人(27%)が母体RSVワクチン接種による免疫を受けた。42560人の乳児を対象にマッチングが行われ、追跡期間の中央値は84日であった。RSV関連下気道感染症による入院(N = 481)は、ニルセビマブ予防接種群において母体RSVワクチン接種群と比較して有意に低頻度であった(調整ハザード比 0.74; 0.61 - 0.81)。同様に、ニルセビマブ受動免疫は小児集中治療室への入院、人工呼吸器管理、酸素療法の必要性リスクの低下と関連していた。リスク因子や居住地に基づく様々なサブグループにおいても、結果は一貫していた。

Jabagi MJ, Bertrand M, Gabet A, Kolla E, Olié V, Zureik M. Nirsevimab vs RSVpreF Vaccine for Respiratory Syncytial Virus-Related Hospitalization in Newborns. JAMA. 2025 Dec 22:e2524082. doi: 10.1001/jama.2025.24082. Epub ahead of print. PMID: 41428474; PMCID: PMC12723599.

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01/04/2026

群馬県北毛保健生活協同組合 北毛診療所、医師の菅野です。
2026年4月の医療情報、一つ目です。今月は今年度より定期接種化となった妊婦に対するRSワクチンに関する話題を二つ紹介します。
今回は妊婦さんへのRSウイルスワクチン(二価のRSVpreFアブリスボ:RSV A 60μg+RSV B 60μg)投与の効果について。
1.臨床的な疑問:母体へのRSウイルスワクチン接種は新生児における重症RSウイルス発症リスクを安全に低下させることができる(生後6ヶ月時点のNNT=81)。
2.僕の意見:RSウイルスワクチンが開発されただけでなく、今年度から(こんなに早く)定期接種化される(高齢者より先に)のは驚きですが、それだけ新生児発症に対する心配が多いということですかね。気になるとすれば資金提供がメーカー(結果が実薬に有利になるような介入はできないにしても何らかの関与があった可能性は否定できない)であることでしょうか。
3.原文の紹介:Daily POEMSより
Kampmann B, Madhi SA, Munjal I, et al, for the MATISSE Study Group. Bivalent prefusion F vaccine in pregnancy to prevent RSV illness in infants. N Engl J Med 2023;388(16):1451-1464.
まとめ
Study Design:二重盲検RCT(隠蔽化は不明)
2022年と2023年の深刻なRSウイルス感染症流行により、特に乳児と高齢者におけるこの感染症が注目された。このファイザー社主導の研究では、妊婦を対象に新規RSウイルスワクチン(RSVpreF:RSV A 60μg+RSV B 60μg=アボリスボ)をの効果を評価した。参加女性は健康な妊婦であり、妊娠24~36週の間にワクチンまたはプラセボ注射を受けた。総計7392名の妊婦が登録され、そのうち7148名が出産した。ベースライン時の平均年齢は29歳、平均妊娠週数は31週、人種別では黒人20%、アジア系12.5%、ヒスパニック系29%であった。群間バランスは取られていたが、perプロトコール解析かITT解析かは報告されていない。これは試験継続率が6か月時点で約80%と平均的であったため重要な点である。中間解析であるため、最終解析では改善する可能性がある。出生後6か月時点で、医療受診を要する重症RSウイルス下気道感染症(RTI)の発症リスクはワクチン群で有意に低かった(1.8%対0.5%;P<0.05;必要治療数[NNT]=81)。生後6か月時点における医療受診を要するRSV下気道感染症の発生率もワクチン群で低かった(1.6%対3.4%;P<0.05;NNT=58)。RSVによる入院というアウトカムに対するワクチン有効性は67%と推定された。局所反応はワクチン群の41%に発生したのに対し、プラセボ群では10%であった。筋肉痛もワクチン群でより多く認められた(27%対17%)。母体および新生児の全体的な転帰に差は見られず、追跡期間中にワクチン群で5例、プラセボ群で12例の乳児死亡が確認された。

Kampmann B, Madhi SA, Munjal I, Simões EAF, Pahud BA, Llapur C, Baker J, Pérez Marc G, Radley D, Sh*ttu E, Glanternik J, Snaggs H, Baber J, Zachariah P, Barnabas SL, Fausett M, Adam T, Perreras N, Van Houten MA, Kantele A, Huang LM, Bont LJ, Otsuki T, Vargas SL, Gullam J, Tapiero B, Stein RT, Po**ck FP, Zar HJ, Staerke NB, Duron Padilla M, Richmond PC, Koury K, Schneider K, Kalinina EV, Cooper D, Jansen KU, Anderson AS, Swanson KA, Gruber WC, Gurtman A; MATISSE Study Group. Bivalent Prefusion F Vaccine in Pregnancy to Prevent RSV Illness in Infants. N Engl J Med. 2023 Apr 20;388(16):1451-1464. doi: 10.1056/NEJMoa2216480. Epub 2023 Apr 5. PMID: 37018474.

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28/02/2026

群馬県北毛保健生活協同組合 北毛診療所、医師の菅野です。
2026年3月の医療情報、二つ目です。小児ではさらに注意が必要です。
今回は放射線を用いた画像検査による小児血液癌発生への影響について。
1.臨床的な疑問:小児の医療画像診断による放射線は悪性腫瘍のリスクを増加させるか?
→紹介文での答え:これらの実臨床データによると、小児における放射線被ばく量の増加が血液悪性腫瘍のリスクを著しく増加させることを示している。累積被曝線量30mGy(CT検査約2回相当)の小児において、血液癌の過剰リスクは10000人当たり25例(400人当たり1例増)である。著者らは、血液癌のうち約10%が画像診断に起因する可能性があるとしている。
2.僕の意見:頭蓋内病変が低いと考えられる(もちろんリスクが高いとしても)小児の頭部打撲に関して、保護者から頭部CTの希望があった場合にこのようなデータを示してリスクとベネフィットに対して相談する必要があると感じました。数値そのものは憶えられないので、自分のスマホにメモを入れておこうかな。
3.原文の紹介:Daily POEMSより
Smith-Bindman R, Alber SA, Kwan ML, et al. Medical imaging and pediatric and adolescent hematologic cancer risk. N Engl J Med 2025;393 (13):1269-1278.
まとめ
Study Design:後ろ向きコホート
今回と同じ著者らによるJAMA Intern Med誌2023年のモデリング研究によると、米国における小児の年間癌発生数約10000例が画像診断に起因すると推定された。このスタディでは著者らが実世界のデータを用いてこのリスクの規模をさらに検証した。彼らは1996~2016年に米国6医療システムまたはカナダ・オンタリオ州で出生した小児を対象とした後ろ向きコホート研究を実施した。各放射線検査(電離放射線を含む)について、検査の種類と小児の年齢・身長・体重に基づき骨髄への吸収線量を推定した。著者らは年齢と性別で調整し、検査の適応理由を特定することで「適応による交絡」(患者の症状や診断が検査陽性率を高め、癌治療に関連しうる現象、つまり癌になる可能性の高い患者さんに対して画像検査が行われた可能性)を回避しようとした。最終的なコホートには3724623人の小児が含まれ、追跡期間は35715325人年(平均追跡期間10.1年)であった。患者は、21歳に達するまで、研究終了時、癌診断時、または医療システムから離脱するまでのいずれか早い時点まで追跡された。コホートの51%が男性、75%がカナダ出身であり、少なくとも1ミリグレイ(mGy)の被曝歴がある約7%の患者群における平均被曝線量は14.0 mGy(一般的なCT検査で受ける線量に相当)であった。著者らは、あらゆる血液癌のリスクがmGy単位の線量に比例して増加することを確認した:相対リスク(RR)は10 mGyで1.25、30 mGyで1.76、100 mGyで3.65であった。B細胞リンパ腫ではリスク上昇がより顕著であった(10 mGyでRR 1.97、30 mGyで3.90、100 mGyで10.7)。T細胞リンパ腫やナチュラルキラー細胞リンパ腫でも同様のリスク上昇が認められた。因果関係と一致して、被曝後経過時間とともに癌発生確率は低下した。

Smith-Bindman R, Alber SA, Kwan ML, Pequeno P, Bolch WE, Bowles EJA, Greenlee RT, Stout NK, Weinmann S, Moy LM, Stewart C, Francisco M, Kofler C, Duncan JR, Ducore J, Mahendra M, Pole JD, Miglioretti DL. Medical Imaging and Pediatric and Adolescent Hematologic Cancer Risk. N Engl J Med. 2025 Oct 2;393(13):1269-1278. doi: 10.1056/NEJMoa2502098. Epub 2025 Sep 17. PMID: 40961449; PMCID: PMC12445590.

群馬県渋川市内で医療・介護事業を展開しています。

28/02/2026

群馬県北毛保健生活協同組合 北毛診療所、医師の菅野です。
2026年3月の医療情報、一つ目です。
今回はCT画像検査による癌発症に対する影響について。
1.臨床的な疑問:CT検査を受けた患者における最終的に癌を発症するリスクはどの程度か?
→紹介文での答え:このリスクモデルに基づくと、CT検査による放射線被曝は、患者の生涯にわたって、特に白血病および肺癌、大腸癌、膀胱癌の発症確率を高める可能性がある。
2.僕の意見:当然と言えば当然の結果に見えますが、予測モデルなので実際にどの程度増えるのか(あるいは増えているのか)はよくわからないということも含めてCT検査を行うべきか決める必要がありますね。診療所の外来だけだと、CT撮影のハードルが高く(放射線技師の少ない病院でも同様でしたが)、年に数回依頼するだけでした(だから自分での読影もレベルが低い)が最近では(時間短縮も必要なので)病院の外来、特に日直では結構CTを多用してしまうので注意しないと。
3.原文の紹介:Daily POEMSより
Smith-Bindman R, Chu PW, Azman Firdaus H, et al. Projected lifetime cancer risks from current computed tomography imaging. JAMA Intern Med 2025;185(6):710-719.
まとめ
Study Design:予測モデル
このリスクモデルでは、全米143施設におけるコンピュータ断層撮影(CT)検査の登録データを用いた。著者らは18臓器の吸収線量を推定し、米国国立癌研究所の放射線リスク評価ツールを用いて生涯放射線誘発癌リスクを算出した。著者らはこれらのデータから、2023年に61500000人の患者さんが1回以上のCT検査を受けたと推定され、そのうち4.2%が小児であった。これらの検査での放射線被曝により、生涯にわたる放射線誘発癌は103000件発生すると推定される(90%不確実性限界≒信頼区間:96400~109500件)。増加が最も予測される癌は白血病、肺癌、大腸癌、膀胱癌である。CT検査のペースがこのまま続けば、新規癌全体の最大5%が放射線被曝に起因すると考えられる。

Smith-Bindman R, Chu PW, Azman Firdaus H, Stewart C, Malekhedayat M, Alber S, Bolch WE, Mahendra M, Berrington de González A, Miglioretti DL. Projected Lifetime Cancer Risks From Current Computed Tomography Imaging. JAMA Intern Med. 2025 Jun 1;185(6):710-719. doi: 10.1001/jamainternmed.2025.0505. Erratum in: JAMA Intern Med. 2025 Jun 1;185(6):747. doi: 10.1001/jamainternmed.2025.2355. PMID: 40227719; PMCID: PMC11997853.

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01/02/2026

群馬県北毛保健生活協同組合 北毛診療所、医師の菅野です。
出す順番をちょっと間違えました。先ほどのデータは65歳未満の成人に対する効果で、こちらは高齢者(といっても日本で来年度から定期接種となるのは75歳以上が対象ですが)が対象のスタディのメタアナリシスです。
2026年2月の医療情報、二つ目です。
今回は高齢者に対する高容量インフルエンザワクチンの効果について。
1.臨床的な疑問:高齢者に対する高用量インフルエンザワクチンは、入院減少において標準用量ワクチンより効果的か?
→紹介文での答え:高用量インフルエンザワクチンを接種した高齢者は、標準用量ワクチン接種者に比べ、肺炎・インフルエンザ・心血管イベントによる入院が少なかった。
2.僕の意見:今後は高齢者に対するインフルエンザワクチンは高容量が主流になっていくようですね。気になるのはメーカーの資金提供によって行われたスタディ(メーカー側に都合が良い結果が出やすい)だということですね。まあ、これだけ大人数(だからこそわずかな差が検出できたとも言えますが)のRCTを行うには莫大な資金が必要ですので、仕方のない選択だったかもしれませんね。
3.原文の紹介:Daily POEMSより
Johansen ND, Modin D, Pardo-Seco J, et al. Effectiveness of high-dose influenza vaccine against hospitalisations in older adults (FLUNITY-HD): An individual-level pooled analysis. Lancet 2025;406(10518):2425-2434.
まとめ
Study Design:RCT(隠蔽化なし)のメタアナリシス(メーカーの後援)
このスタディの研究者らは、65歳以上の地域在住成人を対象とした2つ(一方はデンマーク、もう一方はスペイン)の大規模な人口ベースswの非盲検RCT(両者ともメーカによる資金適用で実施)の個別参加者データによるメタアナリシスを行った。参加者は高用量インフルエンザワクチン(n = 233311)または標準用量ワクチン(n = 233009)の投与群に無作為に割り付けられた。参加者の転帰は、ワクチン接種(インフルエンザシーズンである冬)後14日目から翌年5月31日まで評価された。肺炎またはインフルエンザによる入院は、標準用量ワクチン群(0.62%)に比べ高用量ワクチン群(0.56%)で頻度が低かった(治療必要数[NNT]=1840;95%CI 1017~9591)。さらに、高用量ワクチン接種成人では心血管イベントによる入院も減少した(2.0%対2.16%;NNT=731;457~1825)。全原因による入院も高用量接種群で低頻度であった(8.5%対8.7%;NNT=515;282~3023)。全原因死亡率に有意差は認められなかった。重篤な有害事象は各群で同程度(6.8%)であった。2件の製薬会社メーカー主導試験データのみを用いるのは問題がある。しかし、このデータは他のRCTで得られたデータと一致している。

Johansen ND, Modin D, Pardo-Seco J, Rodriguez-Tenreiro-Sánchez C, Loiacono MM, Harris RC, Dufournet M, van Aalst R, Chit A, Larsen CS, Larsen L, Wiese L, Dalager-Pedersen M, Claggett BL, Janstrup KH, Duran-Parrondo C, Piñeiro-Sotelo M, Cribeiro-González M, Conde-Pájaro M, Mirás-Carballal S, González-Pérez JM, Solomon SD, Sivapalan P, Martel CJ, Jensen JUS, Martinón-Torres F, Biering-Sørensen T; DANFLU-2 Study Group; GALFLU Trial Team. Effectiveness of high-dose influenza vaccine against hospitalisations in older adults (FLUNITY-HD): an individual-level pooled analysis. Lancet. 2025 Nov 22;406(10518):2425-2434. doi: 10.1016/S0140-6736(25)01742-8. Epub 2025 Oct 17. PMID: 41115437.

群馬県渋川市内で医療・介護事業を展開しています。

01/02/2026

群馬県北毛保健生活協同組合 北毛診療所、医師の菅野です。
2026年2月の医療情報、一つ目です。
今回は(日本ではまだ存在しない)mRNAインフルエンザワクチンの効果について。
1.臨床的な疑問:mRNAタイプのインフルエンザワクチンは、標準的な4価季節性インフルエンザワクチンよりも効果的か?
→紹介文での答え:インフルエンザAが優勢だった年において、mRNAインフルエンザワクチンは18~64歳の成人におけるインフルエンザ予防において標準ワクチンよりやや効果的であった。mRNAワクチンでは局所反応および全身反応の発生率が高かった。
2.僕の意見:やはり全身的な有害事象が多い分だけmRNAワクチンの効果は他の不活化ワクチンより効果が高い可能性があるのですね。あとは有害事象と効果のバランスということになりますが、今後のワクチンはmRNA(他のワクチンに比べて新しい病気に対する新規のワクチンが速く多く作れるため主流になっていく可能性が高そうです。ところで、これは余談(あくまで個人的な推論)ですがインフルエンザだけでなく新型コロナ、RSウイルスといった多くの呼吸器系のウイルスは、ウイルス血症特に血液内に多く侵入した場合は全身に炎症、特に血管炎(直接ウイルスが壊すだけでなく、感染した細胞を抗体が攻撃することも関与)を起こして、心血管合併症などおこしやすいのかなと、いろいろデータを見ていて感じました。ワクチンは主にウイルス血症の初期に全身への影響を減らすことで、重症化を予防しているのかなと。
3.原文の紹介:Daily POEMSより
Fitz-Patrick D, McVinnie DS, Jackson LA, et al, for the Pfizer C4781004 Trial Investigators. Efficacy, immunogenicity, and safety of modified mRNA influenza vaccine. N Engl J Med 2025;393(20):2001-2011.
まとめ
Study Design:二重盲検RCT(隠蔽化あり)
新規mRNAワクチンは、従来型ワクチンと比較して、製造期間の短縮、現在流行中の株との適合性の向上、受精鶏卵でのウイルス培養が不要など、いくつかの潜在的な利点がある。このスタディでは、18~64歳の成人18476名がmRNAタイプのインフルエンザワクチンまたは従来型4価インフルエンザワクチン(Fluzone)の投与群に無作為に割り付けられた。両群はベースラインで似通っており、平均年齢43歳、重篤なインフルエンザの危険因子を有する被験者が約25%を占めた。割付は隠蔽され、被験者とアウトカム評価者は治療割付を盲検化されており、解析はITT解析(ワクチン接種後2週間経過時点で研究継続中の全被験者を含む)で行った。6ヶ月時点の全体追跡率は92.9%であった。主要評価項目である検査確認済み症状性インフルエンザの発症率はmRNA群で低かった(57例対87例;0.62%対0.95%;相対リスク0.66;95%信頼区間0.46-0.93;予防接種必要数NNT=300;相対ワクチン有効性34%)。この優位性は非劣性及び優越性の両基準を満たした(例:この新しいワクチンは標準ワクチンより良好と判定)。インフルエンザA型両株に対する有効性は同等であったが、ワクチン対応株に一致するインフルエンザB型株は確認されなかった。mRNAワクチンの免疫原性はインフルエンザA株では高かったが、インフルエンザB株では劣っていた。mRNAワクチン群は標準ワクチン群より局所反応(70%対43%)および疲労、頭痛、悪寒などの全身反応(66%対49%)がより多かった。mRNAワクチン群でアナフィラキシー反応が1例認められたが、心筋炎の症例はなかった。

Fitz-Patrick D, McVinnie DS, Jackson LA, Crowther G, Geevarughese A, Cannon KD, Garcia LM, Pineiro Puebla Y, Yi Z, Cunliffe L, Maniar A, Zareba AM, Ianos CA, Gomme E, Koury K, Suphaphiphat Allen P, Anderson AS, Gurtman A, Lindert K; Pfizer C4781004 Trial Investigators. Efficacy, Immunogenicity, and Safety of Modified mRNA Influenza Vaccine. N Engl J Med. 2025 Nov 20;393(20):2001-2011. doi: 10.1056/NEJMoa2416779. PMID: 41259756.

群馬県渋川市内で医療・介護事業を展開しています。

02/01/2026

群馬県北毛保健生活協同組合 北毛診療所、医師の菅野です。
2026年1月の医療情報、二つ目です。
今回は新しくインフルエンザワクチン接種歴を組み込んで開発されたインフルエンザ感染リスク評価スコアの正確さについて。
1.臨床的な疑問:急性咳嗽を主訴とする成人外来患者さんにおけるインフルエンザ感染リスク評価においてFluScoreVaxリスクスコアリングツール(インフルエンザワクチン接種歴を組み込んだ新しい評価)は正確か?
→紹介文での答え:ワクチン接種状況を組み込んだ更新版FluScoreVaxリスクスコア(主観的発熱=体温計の温度にかかわらず患者さん本人が熱があると感じること有が4点、日常活動への支障有が1点、頭痛有が1点、喘鳴有が-1点、喀痰有が-2点、および最近のインフルエンザワクチン接種歴有が-2点の6項目からなるリスクスコアでスコアの範囲は-5から6点であり、-5~0点が低リスク、1-3点が中リスク、4-6点が高リスクと判定)はインフルエンザ流行期に急性咳嗽を呈する成人患者さんにおいて、インフルエンザ低リスク群を正確に同定する。これらの患者さんは、迅速検査や治療による恩恵を受ける可能性が低い(検査を行っても陰性の可能性が高い、抗インフルエンザ薬の効果が望めないなど)。
2.僕の意見:このデータからすると、咳があって熱があって(4点)も今シーズンインフルエンザワクチン接種していて(-2点)、痰が出ていれば(-2点)合計0点で、低リスクとなり他の疾患を考える(肺炎など)ということになりますね。確かに早期のインフルエンザは空咳が多い印象ですから臨床的にもそう考えやすそうです。じゃあそこで迅速検査をやらないかというと、現状ではなかなか難しい気もします(それよりも、2-3日前にインフルエンザと診断された方が同居家族にいる患者さんが、発熱で来院した時に迅速検査をやる方が陰性でも否定は全くできないので意味ないとは感じますが)。
3.原文の紹介:Daily POEMSより
Ebell MH, Chen Y, Luo F, et al. Development and external validation of the FluScoreVax risk score for influenza that incorporates vaccine status. J Am Board Fam Med 2025;38:401-410.
まとめ
Study Design:決定ルールの検証
以前開発されたインフルエンザ予測のためのオリジナルFluScoreリスクツールは、ワクチン接種データを利用せずに実施された。このスタディの研究者らは、12の欧州諸国からインフルエンザ流行期に収集したデータを用い、ワクチン接種状況を組み込んだ更新版FluScoreVaxリスクスコアを開発し、急性咳嗽を主訴に外来を受診した、または下気道感染症が疑われた成人1526例を対象に内部検証(どの項目がインフルエンザの診断や除外に有用かを評価)を行った。患者さん自身が報告した症状を記録し、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)検査をインフルエンザ診断の参照基準とした。最終リスクスコアには主観的発熱、日常活動への支障、頭痛、喘鳴、痰、インフルエンザワクチン接種状況(-5~6点)が含まれ、その後米国人を対象とした外部検証(実際スコアを使用してどの程度の精度か検証)が行われた。
両研究におけるインフルエンザの全体有病率は約15%であった。FluScoreVaxリスクスコアは外部検証コホートの患者の61%を低リスク(-5~0点)と分類し、そのうちPCR法でインフルエンザ陽性反応を示したのはわずか7%であった。

Ebell MH, Chen Y, Luo F, Shen Y, Coenen S, Little P, Barrett B, Merenstein D, Ieven M. Development and External Validation of the FluScoreVax Risk Score for Influenza That Incorporates Vaccine Status. J Am Board Fam Med. 2025 Sep 15;38(3):401-410. doi: 10.3122/jabfm.2024.240366R1. PMID: 40789620; PMCID: PMC12616807.

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02/01/2026

群馬県北毛保健生活協同組合 北毛診療所、医師の菅野です。
1日遅れですが、明けましておめでとうございます。
2026年1月の医療情報、一つ目です。
今回はインフルエンザ入院患者さんに対するオセルタミビル早期投与の効果について。
1.臨床的な疑問:インフルエンザ患者に対し入院初日にオセルタミビルを早期投与することは転帰を改善するか?
→紹介文での答え:インフルエンザで入院した患者さんにおいて、入院当日にオセルタミビルを開始すると肺疾患の進行リスクが低下した。本研究は、推奨にもかかわらず、多くの入院患者さんが初日にオセルタミビルを投与されていなかったことを示している。
2.僕の意見:作用機序からしたら、早期であればある程効果が高いことはわかっており、外来治療ではなかなか早期に投与できない(多くの場合迅速検査が陽性にならないと投与されない)事情があって、期待するほどの効果が見られない可能性はありそうです。ただ、耐性ウイルスの増加も抑える必要があり、そこらへんが難しいですね(入院するほど状態が悪ければ早期に投与するべきだと思いますが)。
3.原文の紹介:Daily POEMSより
Lewis NM, Harker EJ, Grant LB, et al, for the Investigating Respiratory Viruses in the Acutely Ill (IVY) Network. Benefit of early oseltamivir therapy for adults hospitalized with influenza A: An observational study. Clin Infect Dis 2025;81(1):190-197.
まとめ
Study Design:前向きコホート
現行ガイドラインでは、疑い例または検査確定例のインフルエンザで入院した患者に対し、オセルタミビルを可能な限り早期に開始することを推奨している。本研究は2022-2023年インフルエンザシーズンに米国24病院で実施され、早期オセルタミビル投与の臨床的利便性を、遅延投与または無治療と比較して検討した。研究対象はインフルエンザ陽性の入院患者であった。著者らは、SARS-CoV-2または呼吸器合胞体ウイルスとの重複感染患者、オセルタミビル以外の抗インフルエンザ治療を受けた患者、入院当日に退院した患者を除外した。登録患者は早期治療群(入院当日にオセルタミビル投与を受けた患者:n=415)と遅延治療群(オセルタミビル未投与患者:n=124または入院後期に投与を受けた患者:n=301)に分類された。遅延治療群では、78%が入院翌日にオセルタミビル投与を開始した。主要評価項目は入院中の肺疾患重症度ピーク値であり、WHOのCOVID-19の重症度分類である5段階尺度(1=軽症:SAT≧96%で標準的酸素療法不要、2=中等症Ⅰ:93<SAT≦96%で呼吸不全なく標準的酸素療法、3=中等症Ⅱ:SAT≦93%で呼吸不全があり高流量鼻カニューレまたは非侵襲的換気療法が必要、4=重症:ICU入室あるいは機械的人工呼吸が必要、5=死亡)に準じて分類した。早期治療群では患者の年齢が高く、ベースライン肺疾患重症度も高かった。症状発現から入院までの中央値は全コホートで3日であった。結果はベースライン疾患重症度、年齢、性別、施設、インフルエンザワクチン接種状況で調整された。遅延治療と比較し、早期治療では肺疾患重症度の進行が認められなかった患者がより多く(8%対2%;P<0.001)、重症度がベースラインから1段階上昇した患者(11%対21%;P<0.001)および2段階上昇した患者(3%対7%;P=0.027)がより少なかった。早期治療群では、入院期間の短縮、集中治療室への転入率の低下、昇圧剤使用や透析療法の必要性の減少、院内死亡率の低下も認められた。

Lewis NM, Harker EJ, Grant LB, Zhu Y, Grijalva CG, Chappell JD, Rhoads JP, Baughman A, Casey JD, Blair PW, Jones ID, Johnson CA, Lauring AS, Gaglani M, Ghamande S, Columbus C, Steingrub JS, Shapiro NI, Duggal A, Busse LW, Felzer J, Prekker ME, Peltan ID, Brown SM, Hager DN, Gong MN, Mohamed A, Exline MC, Khan A, Hough CL, Wilson JG, Mosier J, Qadir N, Chang SY, Ginde AA, Martinez A, Mohr NM, Mallow C, Harris ES, Johnson NJ, Srinivasan V, Gibbs KW, Kwon JH, Vaughn IA, Ramesh M, Safdar B, Goyal A, DeLamielleure LE, DeCuir J, Surie D, Dawood FS, Tenforde MW, Uyeki TM, Garg S, Ellington S, Self WH; Investigating Respiratory Viruses in the Acutely Ill (IVY) Network. Benefit of Early Oseltamivir Therapy for Adults Hospitalized With Influenza A: An Observational Study. Clin Infect Dis. 2025 Aug 1;81(1):190-197. doi: 10.1093/cid/ciae584. PMID: 39607747.

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01/12/2025

群馬県北毛保健生活協同組合 北毛診療所、医師の菅野です。
2025年12月の医療情報、二つ目です。
今回はポリファーマシーの予防について。
1.臨床的な疑問:高齢者に対する病院や急性期治療後のケア(PAC)施設でのデプレスクライビング(減処方)介入は服薬負担を減少させるか?
→紹介文での答え:病院からPAC施設に退院した高齢者を対象として、薬剤師またはナースプラクティショナー(診療看護師)が主導して行う、広範囲にわたる減処方介入は、有害事象を増加させることなく、全体の服薬負担を減少させることにつながる。
追加事項:このPOEMはカナダ老年医学会のChoosing Wisely Canadaの次の勧告と一致している「ケアの切り替わる場面において減処方の機会を検討すること」。
2.僕の意見:外来受診中も「まずは処方する前に患者さんの希望をよく聞き、最低限の種類で開始する」、「追加するときも慎重に(もちろん患者さんの希望も聞きながら)」、「追加するときにその代わりにやめられそうな薬を提示する」といった注意はしていますが、他の主治医から引き継いだ場合は(特に多種類の薬をすでに飲んでいる場合は)難しいです。そういった場合に入院を機会に減処方を期待してしまいますね。日本では薬剤師さんや診療看護師さんが中心になることは難しく、入院受け持ちの医師の力量に左右されますが。このスタディの注目点は、服薬種類が減ったことより(有意差はないものの)有害事象が減少傾向だったことかもしれません(詳細は無料で閲覧できる原著のTable 3参照、ハザード比0.83、95%CI 0.52-1.30)。
3.原文の紹介:Daily POEMSより
Vasilevskis EE, Shah AS, Hollingsworth EK, et al. Deprescribing medications among older adults from end of hospitalization through postacute care. JAMA Intern Med 2023;183(3):223-231.
まとめ
Study Design:非盲険無作為割り付け比較試験(隠蔽化あり)
このスタディでは、入院前に5種類以上の薬を服用しており、PAC施設に退院する50歳以上の入院患者さんが、減処方介入を行う群(減処方群)と通常ケアを行う群(対照群)に無作為に割り付けられた。対象患者さん1353人のうち、911人が参加を辞退し、70人が声をかけられなかったため、各試験群に186人の患者さんが割り付けられた。病院では、すべての患者さんが、正確な薬物リストを得るために、医療記録、薬局での補充履歴、規制薬物モニタリングデータベースの確認と、患者さんあるいはその代理人による面接を含むBest Possible Medication Historyプロセスを受けた。減処方群では、さらに臨床研究者(薬剤師または診療看護師)が実施する4つのステップを追加した: (1) 減処方の対象となる薬剤の検討、(2) 減処方に関する患者/代理人との話し合い、(3) 外来処方医および入院チームとの減処方に関する議論、(4) 転院時のPAC施設との処方薬および減処方勧告に関する検討。退院後は、臨床研究者が週単位でPAC施設に電話をかけて薬を確認し、調整した薬物リストと継続的な減処方勧告を外来処方医に送付した。主要アウトカムは、病院退院時、PAC施設退院時、PAC施設退院後90日目の総投薬数とした。各研究グループ142名ずつの患者さんがintention-to-treat(ITT)解析に含まれた。平均年齢は76歳、62%が女性、84%が白人、病院前投薬数の中央値は16であり、ベースライン時の各群は類似していた。退院時の平均総投薬数は2群で同程度であったが、介入群では対照群に比べPAC施設退院時の投薬数が14%減少し(0.86、95%CI 0.80~0.93)、90日フォローアップ時の投薬数は15%減少していた(0.85、0.78~0.92)。ビタミン剤、サプリメント、下剤、降圧剤が最も頻繁に処方される薬物クラスであった。全体的な有害事象、薬物有害事象、薬物離脱有害事象については、2群間で差はなかった。注意すべき点は、試験への参加を辞退した患者の割合が多かったことから、登録バイアスの可能性があったことである。このような行動は介入群と対照群の両方で見られたが、登録した患者はより減処方に傾いていた(好んでいた)可能性がある。

Vasilevskis EE, Shah AS, Hollingsworth EK, Shotwell MS, Kripalani S, Mixon AS, Simmons SF. Deprescribing Medications Among Older Adults From End of Hospitalization Through Postacute Care: A Shed-MEDS Randomized Clinical Trial. JAMA Intern Med. 2023 Mar 1;183(3):223-231. doi: 10.1001/jamainternmed.2022.6545. PMID: 36745422; PMCID: PMC9989899.

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01/12/2025

群馬県北毛保健生活協同組合 北毛診療所、医師の菅野です。
2025年12月の医療情報、一つ目です。
今回は産後出血に対するトラネキサム酸の効果について。
1.臨床的な疑問:トラネキサム酸のルーチン投与は生命を脅かす産後出血を予防するか?
→紹介文での答え:トラネキサム酸の静脈内投与による産後出血予防効果はわずかではあるが統計的に有意であり、約500人に投与すると1の出血を減少させる。産後出血が起こった場合に死亡リスクが通常よりも高くなる女性には検討する価値があるが、著者らは、ルーチンの使用は正当化されないと正しく示唆している。
2.僕の意見:トラネキサム酸の利益を示す様々なデータはいろいろな分野で出ていますが、多くはその利益がわずか(今回も同様)でありその点を注意すべき(安くて血栓などのリスク上昇もわずかなようですが)ですね。
3.原文の紹介:Daily POEMSより
Ker K, Sentilhes L, Shakur-Still H, et al, for the Anti-fibrinolytics Trialists Collaborators Obstetric Group. Tranexamic acid for postpartum bleeding: a systematic review and individual patient data analysis of randomised controlled trials. Lancet 2024;404(10463):1657-1667.
まとめ
Study Design:無作為割り付け比較試験のメタアナリシス
トラネキサム酸の静脈内投与は、世界保健機関(WHO)により産後出血の治療として推奨されている。この個別患者データを用いたメタアナリシスは、産後出血の予防におけるその価値を評価するために実施された。このスタディの研究者らは、少なくとも500人の参加者を対象とした5つのよく設計された無作為割り付け比較試験(N = 54404人)を検出した。このうち43409人の患者さんのの個々の患者データが得られた(4試験)。すべての試験はバイアスのリスクが低く、異質性は認められなかった(P = 0.33)。主要評価項目は、分娩後24時間以内の死亡または出血に対する外科的介入(開腹術、塞栓術、子宮圧迫縫合、動脈結紮)を複合したものと定義された、生命を脅かす出血であった。すべての試験を含めた集計分析では、この結果について、統計的に有意なわずかな減少が示された(178/27300 [0.65%]vs230/27093 [0.85%]; 差異 0. 02%; オッズ比 0.77; 95% CI 0.63 - 0.93; P = 0.008; 治療必要数NNT = 508; CI 291 - 1929)。輸血などの他の出血に関する結果には、明らかな影響は認められなかった。血栓塞栓性合併症の発生率は両群で同じであった(0.2%)。 サブグループ解析では、生命を脅かす出血の基礎リスク、分娩の種類、中等度から重度の貧血(Hb < 10.0 g/dL)の有無、投与のタイミング(産後出血の診断前または後)のいずれにおいても、より大きな利益が得られるグループを特定することはできなかった。

Ker K, Sentilhes L, Shakur-Still H, Madar H, Deneux-Tharaux C, Saade G, Pacheco LD, Ageron FX, Mansukhani R, Balogun E, Brenner A, Prowse D, Arribas M, Ahmadzia H, Chaudhri R, Olayemi O, Roberts I; Anti-fibrinolytics Trialists Collaborators Obstetric Group. Tranexamic acid for postpartum bleeding: a systematic review and individual patient data meta-analysis of randomised controlled trials. Lancet. 2024 Oct 26;404(10463):1657-1667. doi: 10.1016/S0140-6736(24)02102-0. PMID: 39461793.

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01/11/2025

群馬県北毛保健生活協同組合 北毛診療所、医師の菅野です。
2025年11月の医療情報、二つ目です。
今回はリアルタイムグルコースモニタリングの効果について。
1.臨床的な疑問:2型糖尿病患者において持続的グルコースモニタリングは従来のグルコース自己測定よりも有益か?
→紹介文での答え:比較的短期間の研究によるとグルコースモニタリング装置はHbA1cにわずかな効果しかなく体脂肪、血中脂質、血圧には影響しない。Dexcom G6およびG5、Medtrum Touch Care Nano、Medtronic Guardianモデルなどのリアルタイム(持続)グルコースモニターは、使用者に心理的ストレスを与える可能性がある。FreeStyle Libreのような間欠型グルコースモニターは、患者に受け入れられやすい。しかし、どちらのタイプの装置も副作用のリスクを増加させる可能性がある。
2.僕の意見:色々便利な道具が出てきていますが、その害に関しても充分理解して使いたいものですね。
3.原文の紹介:Daily POEMSより
Seidu S, Kunutsor SK, Ajjan RA, Choudhary P. Efficacy and safety of continuous glucose monitoring and intermittently scanned continuous glucose monitoring in patients with type 2 diabetes: a systematic review and meta-analysis of interventional evidence. Diabetes Care 2024;47(1):169-179.
まとめ
Study Design:無作為割り付け比較試験のメタアナリシス
研究者らは、Cochrane CENTRALを含む4つのデータベースおよび検索された論文の参考文献リストを検索し、持続グルコースモニタリング(CGM)および間欠走査型持続グルコースモニタリング(isCGM)装置に関する無作為化研究をあらゆる言語で検索し、2783人の患者を対象とした26の研究を同定した。PRISMAガイドラインに従い、2人の著者が対象論文を選択し、1人の著者がデータを抄録し、別の著者がチェックした。ほとんどの研究は比較的短期間(8~12週間)であった。CGMはHbA1c値の低下(0.19%[パーセンテージポイントではなくパーセント]の低下)にはわずかな効果を示したが、短期的には体組成、血圧、脂質値には影響を及ぼさなかった。しかし、この装置を評価した3件の研究では、使用者の満足度は低く、副作用は高かった(相対リスク[RR]1.22;95%CI 1.01-1.47)。iscGM装置は平均してHbA1cを0.31%低下させたが、体組成、血圧、脂質値には影響を及ぼさなかった。これらの機器では使用者の満足度は改善されたが、有害事象も起こりやすくなった(RR 1.30; 1.05 - 1.62)。

Seidu S, Kunutsor SK, Ajjan RA, Choudhary P. Efficacy and Safety of Continuous Glucose Monitoring and Intermittently Scanned Continuous Glucose Monitoring in Patients With Type 2 Diabetes: A Systematic Review and Meta-analysis of Interventional Evidence. Diabetes Care. 2024 Jan 1;47(1):169-179. doi: 10.2337/dc23-1520. PMID: 38117991.

住所

有馬237/1
Shibukawa-shi, Gunma
377-0005

電話番号

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