30/10/2025
秋が深まってきました。お休みをいただき、何をしているのかをお伝えしますね。
シアトル、ポートランドに滞在していますが、秋冬は雨が多いようで、霧が深かったり、雨が降ったり、晴れ間が出たりの毎日です。樹木が大きく育ち、枝を広げています。
「上流に遡る旅」を少しずつ紹介していきます。
【川の上流へー米国訪問について】
クリニックにお休みをいただいて、IFCAの粟津美穂代表の手解きで、米国を訪問しています。
「もっと上流へ」というのは、次のような意味があります。
私は2017年に県警察の被害者対策に出会い、その後2000年から今まで精神科臨床という現場で、川の下流で、上流から流されてきたトラウマ・サバイバーと出会ってきました。
サバイバーは皆、精神科医療という川を流れながら苦しみ傷ついてきた人であり、回復にたくさんのサポートとエネルギーを必要としている人たちです。
この10年以上は、クリニックを走らせると共に、コミュニティ、特に児童相談所という現場と深く関わることで、一緒に診てくださる仲間を作り、なんとか児童期のうちに、PTSDやCPTSDから回復をする、あるいは再演や再被害の予防的な措置ができないかという挑戦をしています。
その挑戦は、2000年に着任した国立病院の児童病棟と、成人病棟の双方を使って開始してきたことであり、上京してから何年にもわたって嘱託勤務をしてきた、各種児童養護施設(乳児院、児童養護施設)児童自立支援施設、また母子生活支援施設や出産のための婦人保護施設など、間接的に児童養護システムと関わるなかで生まれてきた願いでした。
現在、TF-CBTのコンサルタントとして、東京都の児童相談所群と特別区の児童相談所、その他、宮崎県や栃木県の児童相談所に関わらせていただく恩恵を得て、その願いが叶えられていることを、ご高配をいただき、道を開いてくださった方々に心から感謝しております。
しかしーこの図を見てください。こと虐待ということを考えた時に…
一次予防:虐待が起きる前に止める
二次予防:虐待が起きた時に即座に関与する
三時予防:虐待による帰結、後遺症に関わる、長期的な予防を行う
私が精神科医としてサバイバーの方達を診るのは三次予防になるーそれは一時予防を防ぐことになることはひとつの喜びではありましたが、一方で、重度の解離を含め、CPTSDの方達を回復させていくのは多くのエネルギーを必要とすることでした。
児童相談所群との取り組みは二次予防であったともいえます。虐待を受けた子どもやその保護施設に即時に関わること、その人材育成に微力ながら貢献することは大きな喜びでした。
私は心理士・師でありますが、そもそもは精神科医です。医師の願いは、自分がその領域において善き医師であることですが、もっとも大きな願いのひとつに、自分の関わる疾病がなくなることがあります。
自分がいらなくなることが、実は、心からの願いです。
そのためにはどうしたらいいのか、今後の日本で、こういう方達がより上流の時点で予防できないかということを真剣に考え始めたより上流に遡及する模索の旅を紹介していきます。
出典https://www.preventchildabusenc.org/wp-content/uploads/2021/08/Upstream.pdf