28/10/2025
<自己肯定感と自己効力感>
ある方が面接中に「わたしは自己肯定感が低くて」という話をされました。自己肯定感を話題にされる方は時折いらっしゃいます。そういうときに私は「自己効力感」についてご紹介しています。自己肯定感と自己効力感は似ている言葉です。自己肯定感の方は「自信がある」に近いところがあり、これが強く働くといろいろ楽しく暮らせるとは思いますが、一部「根拠のない自信」というような部分も含まれているので場合によっては周りの迷惑になったり、自分で改善点に気が付きにくかったりします。またこの「根拠のない自信」は天分のもの、生まれつきの才能とも言えるくらいのものでバランスを意識しにくいものという印象があります。一方、自己効力感というのは「自分にはできる」という感覚で、やはり「自信」と関連していますが違いは実績を伴っている点です。どういうことかというと、あることを実行しようと計画を立てます→計画通り実行します→達成感を味わいます。繰り返します。この一連の実績の積み重ねで自己効力感は育っていきます。私個人の見解ですが、自己肯定感と自己効力感の関係は幸せとお金もちの関係に似ています。両者の間には論理の飛躍があり、お金があっても幸せでないこともあります。しかし一般的にはお金があったほうが幸せというのも説得力がありますよね。こんな関係に似ています。またお金と一緒で自己効力感も貯まるものなので、自己効力感に注目するほうが現実的で扱いやすい目標になると思います。
精神療法の枠組みの中で話をしますとまず大きな目標を決めます。その目標につながる「達成可能な目標」を決めます。それを課題として行動してもらって次回の面接に報告してもらいます。課題が達成できれば、難易度をあげた課題を設定し、次回までの新課題とします。達成できなければ難易度を下げて次の課題とします。ここでのポイントは「達成可能な目標」を設定する能力です。自分自身でで目標を決めることが重要ですが、大抵の方はここでつまずくので治療者とよく話し合って目標設定をするのが良いと思います。治療者側の援助のポイントとしては、①クライアントが課題を十分イメトレできているか、②目標を自分以外こと(本に書いてあった。ヒトと比べて・。テレビ。など)で決めていないか、以上2点をを留意してみてあげると良いと思います。また課題に失敗したクライアントが「次はうまくやります」とか「今回は〇〇のせいで・・」といって課題の修正をやりたがらないケースもよくあります。もちろん修正がなくてもいいこともあるのですが、ギャンブル負けと一緒で頭が熱くなっていたり、意固地になっていることも多いので、私はいつもより丁寧に話し合いをすることにしています。失敗時の行動はその人の基本的な振る舞いに関係していることが多いので、そこでの行動の変化は大きなチャンスともいえます。話を元に戻しますと「達成可能な目標」を設定することができて実際に行動、達成し・・という実績をつみ重ねていきますと自己効力感が育ってきます。すると全くの初めてのことでもうまくいきやすくなります。応用範囲がひろがるやり方です。様々な方に勧めることができます。今回は自己効力感についてお話しました。