06/06/2021
『痛くない傷の手当て』
お子さんの顔、頭部などの傷で縫合処置が必要な時、通常は局所麻酔の注射を創部に行った上で行います。ちいさなお子さんの場合は注射の痛みが耐えられず、局所麻酔が効いているにも関わらず怖さから動いてしまい、縫合処置の際に体幹抑制(シーツでぐるぐる巻きにして動かないようにする)を行わなければならない場合もあります。
当科ではLET製剤という浸潤麻酔を用いることで、注射を最後まで行わずに縫合処置をおこなうことが出来ます。
2017年から導入し、40例弱の症例に対し、90%近くは抑制を行わずに縫合処置が可能でした。多くのお子さんが痛がることなく、親御さん立ち会いの中で処置を行えています。
具体的な手順を紹介します。
①製剤使用の説明と同意書作成
②創部にガーゼ切片を留置し、LET液を滴下、フィルムで保護
③10−15分待機
④効果を確認し、洗浄、縫合処置
局所麻酔の追加注射が必要なケースが1割程度ありますが、その場合も痛みは少なく行えます。
お子さんはお母さんと話をしながら、youtubeを見ながら。
当科は少しでも苦痛を取り除けるように考えています。
※)傷の部位や状態、受傷からの経過などによってはLET製剤が使えない場合があります。また、適応外使用の説明、同意書作成が必要であり、時間外など対応できる医師が不在の場合は行えない可能性があります。もしLET製剤をご希望の場合は予めお問い合わせのうえ受診ください。